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映画「ルックバック」感想

いやーおもしろかった。泣いた。
以下ネタバレあり。

考察とかいろいろあるみたいだけどそういう話は得意じゃないし自分がしても面白くないのでただ感想を書く。

まず、映画「ルックバック」は日本にいる友達のインスタストーリーで存在を知って面白そうだと思い、予告とかアフレコ現場の動画とかを観て「声優さんすごい」となり絶対こっちの公開日にみようと思ってずっと楽しみにしていた。お盆に帰国してジャンショに行った時もポスターとかあって「早く見たいな〜」と思い、我慢できずKindleで原作を購入しそれが自分の中での初めての藤本タツキ作品となった。短編なのでサクッと読めて、絵も好きで「めっちゃ面白いやん」となり、他の短編集や「さよなら絵梨」を購入しハマる。彼女が飼っていたメダカが死に、それを食べてお腹を壊す等、作者もいろいろヤバい。それから「チェンソーマン」をジャンプラで読み始めるも、主人公の原動力が「おっぱい揉みたい」とかなのでしょうもないと感じてしまいなかなか読み進められないでいた。気が向いた時にちょこちょこ読んでいこうと思う。もしくは「ファイアパンチ」を先に読んでしまおうか。

そんなところで、やっとこの国でも「ルックバック」公開ということで、初日とその翌日に2日連続でチケットを予約し鑑賞してきた。

語彙力ないので簡潔に言うと、面白かった。泣いた。泣いたところは二箇所あって、まず一番好きなシーンであり見せ場であろう「藤野が雨の中で踊る」ところ。漫画って面白いもので、数コマであんなに魅せることができるのだと、映画を観て逆に漫画の凄さを実感した。文字にして伝えづらいのだけど、アニメだと動いて音楽があって感動しやすい(実際感動した)のだけど、漫画、あの一コマでこれと同等もしくはそれ以上の感動を与えることができるのってめっちゃ凄くないかと。初見っていうのもあるだろうけど、それほどあの漫画の一コマが衝撃的でポスターにして部屋に飾りたいほど好きだった。それに色付けて映像化したものも、味は別だけど涙が出るほど感動した。でもこの場合の涙は音楽とか劇場という環境に泣かされたかな。シンプルに線(絵)でぶん殴られたみたいな衝撃は漫画の一コマの方が勝る。

藤本タツキの作品を読んでいて気づく人も多いはずなのが「あ、この人映画好きだな」っていうこと。画角とか(漫画ではパースっていうかな)、構図とか、間とかが「映画を漫画に落とし込んだ」みたいな感じで、作者本人も言っていたけど「16ページで描ける漫画を31ページで描いちゃう」みたいな。それは作者の頭の中で作品が映像として存在してて、それを漫画にしてるからじゃないだろうかと勝手に推測する。「静」を表現するのにページの中でもフィルム(コマ)を回しているというか。そういう意味でも、この映画を観終わった時に感じたのは「漫画の方が映画的だったな」という少し変な感想だった。めちゃくちゃ言っていたらすみません。

ちなみにこの雨のシーンは漫画のモノクロで読んだ時は勝手に脳内で春みたいな明るい色でイメージしていたけど、映画では普通に雨の日のグレーな空の色だったので、これもどれだけ自分が漫画を読んでいる時に脳内で勝手に想像して補完しているかを実感した。あと想像だと藤野はもっと跳ねていた。

二つ目に泣いたシーンはこれも漫画でも好きだった「藤野が空手の技で犯人を倒す」ところ。何がいいかって、あそこを漫画風にすることで、これは藤野自身が「こうだったらいいのに」と思って描いている « フィクション »だということを、言葉なしで映像のみで視聴者に伝えることができているから。それでより切なさが増している。このシーンは漫画でも「より漫画らしく」描かれていた。好きな手法。

一緒に観に行った友達はけっこう最初から最後まで泣いていたらしく、二人が仲良く遊んでいるシーンや回想シーンでも泣けたらしい。自分は終盤の回想シーンは少し長く感じてしまった。その前に「二人で漫画を描いていた時期」が早送りで回想風に描かれていたから、終盤の回想シーンも同じ印象に感じてしまった。でも物語の答えを提示するために必要な、あれは「藤野のだけの回想」と思えば確かに重要だったなと友達の感想を聞いて納得した。

そんな感じで、泣くほど感動したシーンは大きく二つだったけど、もちろん泣ければ泣けるほど良いってもんでもなくて、山形県の美しい風景とか、完璧な声優の演技、雪の上を走る車、漫画にはない追加シーン等、細かい魅力が多々あり、友達みんなにこの映画をおすすめする。今考えると、序盤の家がだんだん見えてくるシーンからアニメーションのコマ送りを感じる演出でわくわくしたし、満足感でいうと高畑勲の「かぐや姫の物語」や宮崎駿「君たちはどう生きるか」の階段のシーンをみたときのように、アニメーションで魅せられる映画であったと思う。それに完璧な声優と原作があるから最強だ。

観終わったあとは友達とその足でクレープを食べに行き(クレープが食べたくなる映画なので)、原宿みたいな食べ歩きクレープは見つけられなかったけど美味しいチョコバナナクレープにありつけたのでかなり満足な一日だった。

明日は二回目を見に行く。楽しみ。

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