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2023/6/28 届くモノ

定期的に知らない人宛の郵便物が僕の住居に届く。

住所は合ってるので、恐らく僕らが入居する前に住んでた住人(以下Aとする)宛のものだ。

届いているのは殆どが定期便的なものだ。Aは住所を更新しないとダメなんだと思うけど、恐らくそれをしてないのだろう。

最初は「誰やねん!」とか「またAかよ〜」とか言っていたけれど、何回も届くうちにAという人物像に思いを馳せるようになってきた。

勿論、開封したりするわけでも無いし、重要そうなものであれば郵便局に渡すので、詳細は分からないし詮索するつもりも無いのだけど、「何らかのスポーツチームのファンサイトに登録しているんだな」とか「介護施設に誰かを預けているんだな」とか、そういった断片的な情報が嫌でも入ってくる。

情報が入ってくると、Aはどんな人間だったのだろうかという事に思いを馳せてしまう。1人で住むにはやや広いこの部屋。家族で住んでたのかな。恋人と住んでたのかな。なんで引っ越したのだろう。そもそもAはまだ生きてるのか?等という事をふと考えてしまう。

なんかここまで書いてちょっと自分が気持ち悪いかもしれんなと思ってしまった。でも不可抗力なので思いを馳せるくらいは許して欲しい。というか、今改めて文章にしているから深刻な感じが出ているけど、実際そんなに考えているわけでも無い。ただ封筒に書かれた文字を見て「ふーん」って思ったりするくらいのものだ。

………、なんの言い訳をしているんだ。

でも今後僕がこの部屋を出て行った後にちゃんと手続きしなかったら、僕宛の郵便物が僕のいなくなった部屋に届くことも全然あり得るという事なのか…。それは何とも後の住民に申し訳ない話だ。

しかしこういう郵便物でその人の生活の断片が見えてくるというのは中々面白いとは思う。

こういう行き違いを利用したホラー作品とかミステリーものってあるのかな?結構生々しくて良さそうな気がしてきた。

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