「一石○鳥」の楽しい運動会ダンス

 今年度の運動会ダンスがとっても上手くいったので、忘れないように書いておくことにします。皆さんの参考になれば幸いです。(小学校中学年)

要約


1、波状攻撃の理論を使って、楽しく・無理なく、徐々にダンスを進化させていく。
2、ダンスには次の3つの要素を入れる。
 ①各自が自由に選んだり作ったりしていい部分が多いダンスにする(自由)
 ②途中で揃うところがいくつかあるようなダンスにする(協力)
 ③ダンスそのものが誰かのためになる(貢献)
3、上記2の3つを抽象化し、子どもたちが理解すると、他の活動にどんどん流用できる

本文

 準備を始めたのが7月で本番は10月上旬でした。時系列で書いていきます。

7月
①Twitterで流行りの踊りやすい曲をフォロアーさんに教えてもらう。
②某アイドルグループの曲がいいと教えてもらい、YouTubeでグループが踊っているダンス動画(A動画)とダンサーが踊りやすくアレンジした動画(B動画)をゲット。

8月
 夏休みに学年の教員が集まって、運動会のダンスをどうするか話し合い。
 私が提案したB動画をもとに、学年メンバーでさらに踊りやすいダンスをその場で作り、そのまま撮影。休憩を入れながら、約2時間半の作業で、小学生ダンスバージョン(C動画)ができる。

✳︎C動画の構成
 1番…B動画の簡略版、2番…ウェーブ・隊形移動中心、ラスト…三人組の接触なし組体操

9月
①休み時間や授業の隙間時間にC動画をガンガン流す。約1/3の子は遊び感覚で覚えてしまう。
②体育の授業でC動画の練習。2、3時間でラスト以外ほぼ完成。褒めて褒めての楽しい指導。
③休み時間や授業の隙間時間にB動画をガンガン流す。約1/3の子は遊び感覚で覚えてしまう。(波状攻撃1)
④体育の授業でC動画の踊りができる子と、B動画の踊りができる子数名を一緒に踊らせる。
 →見ている子たちがカッコいいと拍手。
 →自分が好きな方の踊りを練習して踊っていいことにする。
⑤ラストの組体操部分の練習。10個くらいの動き・ポーズを提示し、自分の好きな3つをすることに。曲全体を通して踊れるようになる。…普通はここで終わるのですが…
⑥体育の授業でA動画を視聴。(波状攻撃2)

アイドルのダンスのうまさに感動。「全部は無理だけど、自分達にやれるところはやってみたい!」という意見のもと、『サビの部分の決めポーズ』はA動画の動きにすることに決定。
⑦移動するところ、移動が完了するまで待つ時間は自分で好きな踊りをすることに。A動画から持ってくる子やバレエなど自分が習っているもの、フォートナイトのポーズなどバラエティに富む。

①〜⑦までは楽しく活動してきました。教え込むのではなく、動画を真似する・自分たちで考える、全体で見るとどうすればかっこいいかが中心になり、ダンスの授業を楽しみにする子が多かったです。

⑧改めて「何のためのダンスか」を考える。(波状攻撃3)
・中学年なので、低学年の時とは違い、お手本を真似して踊るだけでなく、自分たちで考えた部分が必要になる。…ここはできていると子どもたちは誇らしげ
・昨年はコロナで運動会ができなかった。保護者はどう思っているか。
 →「学校生活でできないことが多くてかわいそうと言われる」
  「でも、全然かわいそうじゃないのにね。ダンスの練習、めっちゃ楽しい」
  「コロナで辛い思いをしている大人もたくさんいるね」
  「来た人に、楽しく踊っているところを見せて、元気づけてあげたい」
 私「見る人を元気にする踊りに、“チアダンス“というのがあるんだ。チアの人たちはメッチャ笑顔で踊るんだ。失敗しても笑顔ね。それ見てると、マジで元気になるよ。」
  「じゃ、私たちも笑顔で踊ろうよ。来た人を元気にしようよ!」

⑨本番まで10日。笑顔ダンス練習開始。「笑顔で踊ると楽しい!」
⑩「来た人を元気にするには、揃っている場所がもっと欲しい」とのこと。「組体操の部分は三人で揃えよう」とか、「移動するときは弾けるように動こう」などの意見が出て、さらに自分たちでダンスをアレンジ。

10月
①練習をふらっと見にくる先生が絶賛。
「笑顔が素敵!見ていて元気になります」→「イエーい!(見にきた人を元気にさせる成功!)」
②他学年と見せ合い。褒められ、さらに自信を持つ。
③②の動画を見て、微調整。(その動画を交流中の他校の子に送り、すごいと褒められて自信に)
④運動会、本番
⑤お家の人の感想を聞いてきてもらい、発表。「笑顔がよかった」「楽しそうで、見ていて元気になった」「上手だった」「揃っていた」などが出てきた。
⑥なぜ、運動会のダンスが楽しかったのか、話し合い。結果は、
 (ⅰ)自由な部分が多かったので、楽しかった→「自由」
 (ⅱ)揃うところが気持ちよかった→「協力」
 (ⅲ)誰かの役に立てているのが嬉しかった→「貢献」

子どもたちは「自由」「協力」「貢献」に納得した様子。

11月
 クラスの学びの発表週間(勤務校独自の取り組み)。各学年、道徳などで考えたことや劇などを準備して発表。私の学年は、10月⑥のやりとりを先生役と子ども役の簡単な劇にして発表(とても準備が楽だった&管理職から内容がすばらしいと、私が褒められた。)。

12月
 合唱発表会。私の学年は、一人一人が表情豊かに・ちょっと歌に合わせて動く(自由)、揃えるところはバッチリ揃える(協力)、来た人を歌で元気にする(貢献)に気をつけることを意識して練習。本番、かなり上手くいったと、子どもたちは満足。
(リハーサルを撮影。その動画を他校との交流で使用したところ、他校の子が気に入ってくれて、今後どういう交流にするか、さらに子どもたちと検討中。)

✳︎運動会のダンス練習は1時間に多くても3回しか踊っていません(約3分の曲)。暑いし、疲れるし、指導もきついし。基本は1回踊り、ポイント・変更点・よかった人の紹介・個人で練習、水飲み休憩をした後、2回目を踊り、振り返ってダンス練習は終わりです。その後は運動会の他のことの練習をして、早めに終わって着替えるようにしていました。練習自体が楽しく、もっと踊りたいという声も上がるのですが、「パワーを次の時間の勉強のためにとっておいて」と多くても3回までしか踊りませんでした。それが、休み時間に自主的に踊る子たちの増加に繋がったのかもしれません。

✳︎ダンスが運動会で1回目、学び発表週間で2回目、合唱発表会で3回目、他校との交流で4回…と運動会以外にも役に立っています。やってきたことを抽象化したことで他の活動に転用できているのだと感じます。このテクニックは来年度以降も使っていきたいです。(もちろん、ブラッシュアップさせながら)

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