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old memories―夏―

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高校1年の夏休み前、夏海は、あいちゃんと

2人で教室にいた。

「~~♪」

夏海は、好きな歌手の曲を弾き語りしていた。

「相変わらず上手いねー」

あいちゃんは笑いながら言っていた。

夏海の少し低めなハスキーの歌声が教室に

響き渡っていた。

「あっ、なっちゃん、私そろそろ
部活行くね」

夏海はギターを弾くのをやめた。

「あいちゃん、頑張って!」

あいちゃんは野球部のマネージャーだ。

あいちゃんは野球一家で、あいちゃんの

お父さんは元高校球児で高校最後の年に

甲子園に出場した。

あいちゃんの双子の弟の陸くんは、

お父さんの影響で野球を始めた。

「~~~~♪」

夏海は、ギターの練習を再開した。

夏海のお父さんは、夏海が産まれた数日後に

病気で亡くなった。

とても優しい人だったらしい。

歌っていたその時

「おーっす!夏海ちゃん!」

教室の出口から低い声が聞こえた。

「あっ、有馬さん」

「なーにしてんの?」

有馬が夏海に近づいてきた。

「ギターと歌の練習です」

夏海は、ギターを抱えたまま下を向いた。

有馬は、夏海の幼馴染の健太の1個上の

バスケ部の先輩だ。前髪をセンター分けに

しており、めちゃくちゃ綺麗な顔を

している。未だに有馬と話すのは慣れていない。

「ねぇ、夏海ちゃん、、」

「どうし、、、」

有馬の顔が薄く赤かった。

「いや、なんでもない」

「じゃっ、部活行ってこーわい」

有馬は立ち上がり教室の出口に向かって
歩き出した。有馬は前を向いたまま手を降った。

「頑張ってください」

有馬が教室を出て行った。

「さてと」

その時、スマホの着信音が鳴った。

夏海の胸はドキッと高鳴った。

健太からLINEが来ていた。

『川村ー、学校おる?』

夏海は、健太のことを想っている。

ずっと、ずっと前から。

『おるよー、健太、部活やないん?』

『部活やでー。川村、今日一緒に帰らん?』

夏海の心臓は、トクトク鳴っていた。

『いいよー(^^)』

夏海は、スマホを机の上に置いた。

セミの鳴き声が、ものすごく響き渡っていた。

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健太は、部活の服装で、自転車置き場にいた。

「健太!」

「おせえよー」

「いやいや、歌うことに夢中になりすぎて」

自転車置き場は、健太と夏海だけだった。

夏海と健太は、並んで歩き始めた。

「、、、川村、思ったんやけど、
お前もうすぐ誕生日じゃね?」

「健太、覚えとってくれとったん?」

「覚えとるよ。だって、、」

夏海は、健太の方を少し見た。

健太の右耳は、少し赤かった。

夏海はすぐ前を向いた。

2人は、ファミリーマートで

話してから帰ろうと話になった。

ファミリーマートの飲食スペースは

夜の9時ということもあり、誰もいなかった。

夏海と健太は並んで座った。

夏海は、ものすごくドキドキした。

健太は、ファミマのカフェオレを

飲んでいた。大の甘党だ。

その時、健太が言葉を発した。

「川村」

「どしたん?」

「小さい頃から俺ら一緒だったよな。」

夏海は吹き出した。

「なによー(笑)もー(笑)」

「俺、、、川村といるん楽しいんだよ」

夏海の胸はドキッと高鳴った。

「わ、、、私も」

健太が夏海をじっと見た。

2人はその場で見つめあっていた。

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夜中の12時

『川村、起きとる?』

『起きとるよ😊でも眠い(笑)』

『川村、、夏休み入った直ぐに
花火大会あるやんー。
、、、一緒に行かね??』

夏海はムクっと起き上がった。

夏海は口元に手を当てた。

『いいよ』

甘酸っぱい夏の始まりだった。

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