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日本の映像作品についてのある方のお話と映画の感想を・・・

先日、ネットニュースでダンサーであり俳優であり日本のエンターテインメント界の重鎮である「田中泯さん」がされた記者会見時のお話を拝見しました。
省略して記しますが「日本のドラマなどは、やたらと笑いにはしるが、それは一般人を馬鹿にしているんじゃないか・・・もっと受け手を高める作品作りをしていくべきなのではないか・・・」と言った内容でした。
そしてそのニュース記事には田中泯さんご自身が名指ししたかは分かりませんが、2015年にNHKで放送された「連続テレビ小説 まれ」がその象徴的な作品とされ具体的に幾つかのシーンも挙げられていました。
「まれ」ファンの私としては少し残念な気持ちになりましたが、(なにしろ田中泯さんが演じた役は重要かつロケ地の能登を象徴する様な人物だったからインパクトは大きかったです)結構極端な形でバラエティー番組の様になってしまう回があったのは事実だったと思います。
ファンから見ても「そこはそうじゃないといけなかったのかなぁ・・・」と思う場面は今DVDで観ても確かにあります。
ただ(ファンなので贔屓目もありますが(笑))この「まれ」と言うドラマ・・・ 一見ドタバタ喜劇の様であって、なかなか重くシリアスなモチーフが込められていると思うのです。
事業失敗による自己破産、移住の苦労、恋と友情、過疎地域の問題、伝統工芸の抱える問題、プロのこだわりと経済性、仕事と家庭、女性が働くこと、そしてこのドラマのテーマである「夢と現実」・・・
もちろん製作される側としては一話一話の視聴率を上げたい意図もあるでしょうが、一話15分でもそれらのテーマの重さに笑い無しで向き合って半年間観ていられたかと言うと私は自信がありません。
批判された要素は確かにあるもののドタバタのお笑いだけではなく、悲しみも、怒りも、切なさも、全てがギュッと凝縮されたドラマだったと私は思います。
そしてその多くの場面は田中泯さんがいたから成り立っていたと思います。
田中泯さんには納得いかない演出もあったのでしょうが、田中泯さん無しでは「まれ」は出来なかったと思っています。
また「まれ」を何度か観て感じたのは「プロの凄さ」・・・
登場人物の雰囲気や言葉のニュアンス、ロケーション、部屋や調度品のこだわり(例えばレトロモダンではなく本当に古いものを使っていたり)・・・
感情と勢いだけでなく、感情を表現するための技術とノウハウ、それらを突き詰める努力・・・
泣いたり笑ったりしながらも、「プロって凄いなぁ」なんて思いながら今でも時々「まれ」を観ています。

で・・・突然別の作品の話になりますが、本日観てきたばかりの映画「君は放課後インソムニア」も「まれ」に感じた作り手の凄さを感じた作品でした。
実際に訪れたことがある場所が映ったりしてより感動に拍車をかけてくれたことも大きかったですが、中見丸太役の奥平大兼さん、曲伊咲役の森七菜さんを始め俳優さん達が原作の雰囲気を大切にしながらも実写ならではの人物像を作り上げてきた感じが伝わってきて優しいトーンの中に感動がいっぱいの映画でした!
原作漫画は人気でアニメも大変美しく作られていたので自分の中でも実写映画へも期待が大変高まっていましたが、原作の設定と実写ならではの質感が程よく合わさって素晴らしい映画になったと思います。
エンドロールと並行して続編の予告?映像が流れましたが何時公開かは分かりませんでした。 どなたか続編の公開は何時かご存じですか?
白丸先輩風に言うとこのままでは「死んでしまうわ!」(笑)

話が前後してすみませんが、田中泯さんは、「まれ」の放送時期に出版された本やDVDの特典映像に収められたインタビューで製塩職人の「桶作元治」を演じるにあたり塩造りのロケ地となり指導もされた珠洲市で伝統的な製塩を伝える「角花家」の方々について「人の力で人が生きる礎になる物を造る尊いお仕事」と語っておられました。
田中泯さんが笑いに走るドラマのあり方に苦言を呈したのは角花さんの様な方々を侮辱するようなニュアンスがあってはならないと思ったのかもしれない・・・とも感じます。

能登が舞台となった二作品のお話を取り留めもなく長々としましたが、是非「連続テレビ小説 まれ」、「君は放課後インソムニア」、観てみてください!

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