ヒトの顔の第1印象は0.1秒で決まる。そして全く当てにならない。

ヒトはあまりにも社会的な動物なので、他人の表情から思考や感情を読み取ることに、恐るべき能力を持っている。100万年の進化の末、この能力のない個体は淘汰され、この能力は本能として遺伝子に記録された。それがあまりにも強力なので、わずか0.1秒の瞬時でもヒトは他人について何かしらの評価を「してしまう」

ところが、これは本来の能力の副作用だ。なぜならば、ヒトは100万年にわたって「第一印象」を持つ機会はほぼなかった。部族社会で周囲は知人しかいない。知らない人間に会うのは一生に数えるほどだ。ゆえに第一印象で他人を評価する能力があっても、生存の役には立たない。進化とは無関係なのだ。

実際に、実験をしてみると、第一印象というのは見事に外れたそうだ。全く頼りにならないらしい。

まれに「ひと目見て異性に惚れた」という人がいるが、それは完全に自分の妄想で作り上げた相手に惚れただけだ。まず思った人とは違う。残念なことだ。

これと似た話題として、写真による性格判断がある。

人は他人の顔写真を見ると、やはり相手のことを何かわかったように錯覚する。しかし、人にはそのような能力はない。これも理由は単純で、ヒトは100万年にわたり、静止画を見たことがないからだ。動かない顔の表情を見て相手を評価する能力は、進化では必要とされない。なので進化していない。

上記のことをまとめると、知らない人の顔写真はその人を評価する上で何の役にも立たない。せいぜい性別と年齢、健康状態が推定できるだけだ。

これも実験をやった人がいる。大企業のベテラン人事とソーシャルワーカーに、多数の写真を見せて、知能や、性格や、経済的成功度を推定させた。出たらめに言ったのと変わらない結果だった。

つまり履歴書の写真は、あれは単なる慣習に過ぎない。人事もあれが役に立つと考えているようだが、じつは余計な先入観を植え付けるだけで害しかない。まあ、美人かどうかだけで選ぶならば話は別だが。

補足

「誰もが○○だと思う顔」というのは存在する。

例えば、多くの人が「頭が良さそうだ」と評価する顔は確かに存在する。しかし、実際にその人が頭がいいかというと、別に全然関係ない。単に誰しもが同じように間違った評価をするというだけの話。

第一印象の科学――なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?
Amazon Services International,  Inc.による
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