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2016年の米大統領選はトランプが勝ったのではない。男が女に勝ったのだ。

 民主党の候補がクリントンでなかったら、トランプは負けていただろう。クリントンは女性であるが故に、保守的な男、特に白人男性から嫌われた。日本でも顕著だが、ああいう「生意気な女」を貶めたいと考える男は多い。これはおおっぴらに言えることではないので、世論調査などには現れなかったようだ。しかし、実際に女嫌いは大勢いて、彼らはトランプに入れた。

 そういう意味では「史上最悪の大統領トランプ」の誕生は民主党のチョンボだ。あの時の民主党候補がバイデンだったら、多分トランプは負けていた。

 しかし、逆の言い方もできる。あれは「初めての女性大統領を誕生させる、絶好のチャンス」だったのだ。共和党がもっとまともな候補者を立ててきたら、クリントンには勝ち目はなかった。女性だからだ。
 共和党としては理由は知らないが、女性大統領を誕生させたかった。そしてトランプほど「弱い大統領候補」はめったに現れない。あれはそういう意味ではチャンスだった(注1)(注2)。
 しかし結果的には大失敗に終わった。たぶん、選挙参謀のスティーブ・バノンが予想外に優秀だったのだ。

注1:うがった見方だが、共和党内の「超党派」が協力したのかもしれない。米国は、日本よりはマシとは言え、ヨーロッパ(特に北欧)と比べると、まだまだ男偏重の社会だ。例えば政府要人や経済界の「大物」に女性はほとんどいない。いい例としてGAFAのCEOは全員男性だ。
 それが故に、社会としてはヨーロッパよりも脆弱だ。男社会の弊害が現れている。女性の能力を生かせないし、産官学共に視野が狭い。
 もっと卑近な話として、ヨーロッパ各国と外交が出来ない。価値観が違うので意思疎通が難しいのだ。
注2:そして現在の副大統領はカマラ・ハリス氏であり、「初の女性大統領」の最有力候補だ。

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