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諸葛亮の南蛮征討

三国時代の蜀漢における諸葛亮の南蛮征討は、正史『三国志』「蜀書」に記述されていますが、その内容は小説『三国志演義』で語られるエピソードとはいくつかの点で異なります。

正史における南蛮征討

正史『三国志』では、諸葛亮の南蛮征討は比較的簡潔に記述されています。諸葛亮が南蛮(主に現在の雲南省一帯を指す)を征服したのは、蜀漢の南方の国境を安定させ、内部の安全を確保するためでした。この征討は蜀漢の勢力を南方に拡大し、蜀漢の国境を守る重要な一歩となりました。具体的な戦闘の詳細や、南蛮王孟獲とのやりとりについて、『三国志』では詳細な記述は少ないです。

『三国志演義』における南蛮征討

一方、『三国志演義』では、諸葛亮の南蛮征討が非常に詳細かつ劇的に描かれています。特に有名なのは、南蛮王孟獲を四度捕えては釈放し、最終的には彼を心服させて蜀漢に帰順させるというエピソードです。この物語は「七擒七纵」として知られ、諸葛亮の智略と人心掌握の能力を象徴する話として広く語り継がれています。

正史と『三国志演義』の違い

  • 詳細の記述: 正史では南蛮征討に関する記述が簡潔であり、諸葛亮の戦略や孟獲との交渉などの詳細はほとんど触れられていません。一方、『三国志演義』では、この征討を劇的かつ詳細に描写しており、孟獲とのやりとりが特に強調されています。

  • 人物の描写: 『三国志演義』では、諸葛亮の人物像が理想化されており、彼の知恵と戦略が強調されています。正史では、諸葛亮は優れた政治家であり軍師であると記述されていますが、『三国志演義』のような劇的なエピソードはありません。

諸葛亮の南蛮征討に関するエピソードは、後世の人々によってさまざまに語られてきましたが、正史と『三国志演義』ではその描写に大きな違いがあります。これらの違いは、歴史的事実と文学的創作の間の関係を理解する上で興味深いポイントとなります。

#三国志勉強ノート  No.86

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