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【福井9月旅】米どころ東郷を愛し明日の「おつくねのまち」を結ぶひとたち(その1)

福井県福井市から約9キロの南東部に位置する、人口4000人弱の福井市東郷(とうごう)地区は、コシヒカリ発祥の地・福井のなかでも有数の米どころです。地域の北側には足羽川が流れ、扇状地として奈良時代から荘園として開拓され、平安時代から用水を整備して盛んに稲作が行われていたそうです。室町時代は東郷朝倉氏が管理、東郷地区のシンボルでもある槇山(まきやま)に城が造られ城下町を形成しました。江戸時代には岐阜に続く美濃街道の宿場町として発展しました。一乗谷朝倉遺跡にほど近いことから、朝倉遺跡とあわせての散策や観光でも注目を集めるスポットです。さまざまな魅力の詰まった東郷地区について、お話を伺わせていただきました。
目次
  ▶︎「おつくねのまち」にこめた想い
  ▶︎ 東郷のみんなで結ぶ福井のブランドの
   米どころの誇り、おつくね祭
  ▶︎東郷のヒストリーをたたえる
   堂田川ストーリー
  ▶︎東郷を支える地と水の力

「おつくねのまち」に、こめた想い

越前東郷駅

JR越美北線越前東郷駅。東郷まず目につくのは壁面に描かれた「おつくねのまち」の文字と、おにぎりの絵です。東郷地区が「おつくねのまち」と呼ばれているのはなぜでしょうか。

「おにぎりのことを古くは東郷地区の方言で「おつくね」といいまして、東郷地区は米どころでもありますし、米粒が集まって人をしあわせにする「おにぎり」を町の象徴にということから、「おつくねのまち」と呼ばれるようになりました。」

そう語るのは、本日、東郷をご案内くださる「東郷ふるさと起こし協議会」の増山芳弘(ますやま よしひろ)さん。地域の仲間と一緒に東郷のまちづくりのために、日々奮闘されていらっしゃいます。

増山芳弘さん

さらに本日のもう一人の案内人、東郷ふるさと起こし協議会理事の伊藤真紀(いとう まき)さんもお話を続けてくださいます。

「杵と臼」の前で。
左が伊藤真紀さん
右はイラストレーターの
伊藤ゆかさんです。

2.東郷のみんなで結ぶ、福井のブランドの米どころの誇り、おつくね祭

伊藤真紀さん 「おにぎりといえば、8月におつくね祭という地域のお祭が2日間あるのですが、当日はお祭り実行委員会の用意したお米を公民館や、各町内会で炊き出して6000個くらいのおにぎりを作って無料で配布するんですよ。」

——-6000個!それは凄いですね。

「おつくねをにぎる人は、のべ人数で50人から60人くらい。無料配布時は長蛇の列になります。防災訓練の炊き出しの練習も兼ねて、楽しく行う防災訓練にもなっているんです」

——-東郷地区は、コシヒカリ発祥の地である福井のなかでも、さらに有数の米どころ。
東郷米はブランドでもありますが、そのお米を愛情こめて握ってくださるおにぎりは、究極のごちそうです!人々のまんなかにある「おつくね祭」は、いつ頃始まったのでしょうか❓

増山芳弘さん
「おつくね祭は、地域の繋がりが希薄になりがちな時代において、東郷地区を元気にしたいと集まった勉強会で、地域のみんなが一堂に合することができるものをと話し合った結果、地区のお祭をやろうということから始まりました。

1988年から89年頃、ちょうど話し合いの翌年頃になりますが、国の政策で市町村に対して一億円交付という「ふるさと創生事業」というのがありまして、タイミングが合ったこともあり、そのなかで400万円の予算をとって「東郷ふるさとおこし協議会」が中心となり、1995年から地区最大の夏のイベントとして継続して行っています。

コロナの時期、三年間は思い通りにならなかった面もありまして、早くコロナが吹き飛んで、以前のようにできるようになって欲しいですね。」

お忙しいなか出迎えでくださり、
熱心にお話くださる増山さんと伊藤さん

 ——-8月のお祭の時期になると、越前東郷駅前通りには模擬店が並び、自治会ごとに手作りの神輿やパフォーマンス、おつくね杯の俵はこびリレーなども披露されるそうですね。

増山さん
はい、音響の設備や舞台の設営や模擬店も、それぞれの分野に得意な人がいることもあって、業者さんにお願いしなくても、東郷の人みんなで協力しあって行っているんですよ。」

伊藤真紀さん 「わたしは出身は岐阜県なのですが、福井県の東郷に住んでみて、マンパワーや知恵が豊富で、若い人の意見を積極的に聞いてくださったり、機会を与えていただけるところだと実感しています。」

——30年近く、地域の人たちの手で続いている「おつくね祭」。当時は小さかった娘さんや息子さんも大人になり、今度は主力として祭の運営を父母や友人たちと一緒に盛り上げている好循環も生まれているそうです。

増山芳弘さん
「20代の若い人たちは、こびり庵で浴衣に着替えて、県外からの友人と一緒に参加してくれています。ここは、若い方の意見が通る気風があるんです。若い人がこうしたい、と言えば、やれやれと応援していく。

着目しているのは、若手を引っ張り出すだけではなく、東郷に引越しをしてきた人たちを、輪のなかにどう巻き込んでいくか、移住してきた方々が主役になれるような在り方でいたいと常に思っています。」

——-東郷に住む誰もが主役になれる、かかわりしろの余白を残しながらも、ぎゅっと、おにぎりのように団結力のあるまち。
シビックプライドが、行政主導ではなく、まちに住む人たちから自然に湧き起こり継続していることが感じとられました。
そのポイントは、思い出を醸成していける「おつくね祭」の存在感だと思います。
シビックプライドを研究されている関東学院大学准教授の牧瀬稔氏によると、「思い出をつくってあげる」こと、地域を構成する力で楽しい何かを生み出していくことがシビックプライドを醸成する鍵となるそうです。まさにそれらを体現している「おつくね祭」は、これからもおにぎりの梅干しのように、地域のよりどころであり続けるのだと感じました。

東郷のヒストリーをたたえる堂田川ストーリー

散策できる美しい堂田川のほとり

——増山さんと伊藤さんのご案内で、街並みを歩いてみました。柳の並木沿いに水をたゆたえる堂田川(どうでんがわ)が目に映ります。川沿いはきれいに整備され、散歩中に休憩できるようなベンチや花壇もあり、立派な鯉ものびのび泳いでいます。人が近づくと、そばに来てくれる姿にも和みます。鯉の餌は近くの「小川金物屋」さんなどで買えるそうですよ。

東郷を支える地と水の力

——-そもそも東郷のお米は、なぜ福井の中でも美味しいのでしょうか。米どころは水どころ。足羽川頭首工(あすわがわとうしゅこう)から、山の雪解け水のたっぷりとした栄養を含んだ足羽川の水を引き入れて、農業用水として田畑を潤しています。

足羽川頭首工の周りは蛍も見れる水の美しいエリアです。
江戸時代には徳光下江用水として、1200町歩(約1,2 平方キロメートルを灌漑して、農業用水や生活用水として親しまれてきたそうです。平成18年には疎水百選に選ばれました
堂田川沿いの案内掲示板より

また、東郷地区の土壌は「沖積土壌」と呼ばれ水はけが良いこと、盆地なので夏には寒暖差を
生む川風が吹いて、お米に旨味と甘みを与えるそうです。

おつくねは、水と土そして川風と勤勉な作り手の方たちのご尽力の賜なのだなあと目の前の澄んだ堂田川を見て、感じたのでした。

大正時代から戦前、戦後にかけて繊維で発展した歴史があります。現在は、ジャガード織が、メインです。


笏谷石でできています


カッパのブロンズ像

——-堂田川ほとりのキュートなカッパの像は奈良の、せんと君をデザインされた薮内佐斗司さんが手がけられたそうです。衣装も着替えるお洒落な人気者です。

ライトアップやコンサート、地域の人たちが作る川床もある堂田川は、季節によって動の顔や静の顔を多彩に見せてくれるのですね。

卓越した企画力や実行力で人と人を繋ぎ、愛するふるさとを刷新し続けていらっしゃる東郷のプレイヤーの皆様に、地域を自分ごととして
とらえていく懐の広さと、頼もしさを感じました。

伊藤ゆかさんがイラストも自作でつくられました!東郷の魅力が満載です。
一乗谷朝倉氏遺跡と、かかわりの深い槇山についても、伊藤ゆかさんが作られました

今回は、ここまでのご紹介です。
お昼にいただいた、毘沙門寿司さんの
お話は、また次回にご紹介しますので
楽しみにしてくださいね!^ - ^

増山さん、伊藤真紀さん、ゆかさん
貴重なお時間をいただいて、
丁寧にご案内をくださいまして
大変お世話になり、ありがとうございました。


記事の最後になりましたが、新しいお知らせです❣️

越美北線の越前東郷駅が、利用促進と魅力促進、新たな観光誘客を目的に、待合室を中心にプチリニューアルをしたそうです✨❣️
11月27日、おひろめの記念式典やライブ、シルクスクリーンのワークショップなど、みんなで楽しめるイベントがたくさん行われます。
ぜひ、新しくなった越前東郷駅をみんなでお祝いに行きたいですね✨✨

読んでくださって、ありがとうございました。


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