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「おのぼりやす」「おくだりやす」初めての京都、愛宕山登山



「おのぼりやーす」

京都弁の上品な発音で、あいさつされると、気をつけて歩こう、という気になる。

登山中すれ違う登山者に

「こんにちはー」

とあいさつするのは全国共通だと思っていたが、ここ京都は違う様だ。

「おのぼりやっす」

など、上品にあいさつされると、
私も上品にあいさつを返したくなる。
そして、降りてくる人に

「おくだりやす」

とあいさつを返してみる。上手く発音出来ないが、しっとり落ち着く。


私が勤務する飲食店では、
お水を京都愛宕山山麓の湧水を使っている。

それなのに、愛宕山がどこにあるのか、どんな山なのか、知らないなんて、ダメじゃない?そう思っていた所、

「千日詣」

の日が1年に一回あるという。この日にお参りすると、1000日詣た御利益があるのだとか。
愛宕山山頂の愛宕神社は火伏せの神様が祀ってあり、神社では火伏せのお札を販売している。


今回は仕事場の上司おっさんが企画をしてくれた。

京都愛宕山、千日詣登山だ。

おっさんは前日琵琶湖を渡って、比叡山を越えて京都へ上格し、
私は翌日、千日詣の日に東京駅を新幹線で出発した。

愛宕山へは、いくつも登山道がある。
清滝口の参道から登るのが一般的な様だが、私達は交通アクセスのいい保津峡駅からスタートする事にした。

山奥の無人駅からスタート
保津川



8時40分頃、保津峡駅をスタートする。山に囲まれた渓谷沿いの無人駅、駅前はコンビニも何もない。
お昼ご飯を用意してこなかった。駅前で調達しようと思ってたが、失敗した。
おっさんがおにぎり2個あるから、1個ずつ食べよう、と言う。

登山口が分かりにくく、少し迷う。
獣道の様な登山口には案内板もなく、ほんとにここでいいの?という感じだ。
足場の悪い急な登り道から、千日詣のスタートだ。



京都は暑い💦
山の中は少しはマシかと思ったが、そんな事はない、暑い、そして急な登り。このルートは低木の落葉広葉樹が多く、太陽の光が入って明るい森だが、その分暑い。
登り始めてすぐに、汗びっしょりになった。

京都は何日も雨が降っていないと言う、登山道はカラカラに乾いて、細かい石がザラザラある、足を取られて登りにくい。

愛宕山山頂がチラリ
やっと杉林が現れて、参道が近いことがわかる。ここも暑い💦



1時間ほど登った辺りから、おっさんの様子が変だ。
足が攣りそうだ、と言って歩みがゆっくりになる。
1時間40分程で参道と合流するが、
そこまで3時間以上かかってしまった。3歩進んで、水分を摂るといった感じ。
熱中症かも?

ちょうど参道と合流するところにベンチがあった。座ってもらい、私が持ってきた水を分けて、休憩を取ってもらう事にした。おにぎりを1つ私に渡そうとするが、お断りして栄養と水分を摂ってもらう事にした。

幸い、意識はしっかりしていて、
熱中症の症状はないものの、やはり暑さでバテたようだ。
ガラガラの声で

「上に上がって、お札5枚買って来て」

とおっさんが言う。
そのくらいお安い御用だ。その間往復1時間40分程、ここで休憩していてもらう事にした。


参道に合流するまで、下山してくる人は数名いたが、登る人は居なかった。
参道へ来ると、やはり「千日詣」
多くの人が、登っている。
小さな子どもを背負って登る人も数人すれ違う。

その度に

「おのぼりやーす」

と、声をかけられる。さっきまで聞こえなかった蝉の鳴き声と共に、耳に心地よく響く。優しい響きでいいなぁ、癒されるわ〜。

歩きやすい、整備された参道
立派な杉の木が参道にたくさんある



京都弁のイントネーションを真似て、

「おくだりやす」

と言ってみる。難しいなぁ。

「おくだりやっす」
「おくだりやーす」

大きな鳥居が見えてきて、
愛宕神社はまもなくだ。
最後は石の階段を上がり、派手さはないが、侘びた佇まいの神社に着いた。

立派な鳥居
石段を上がる
またまた、石段を上がる
愛宕神社
神前で、ご祈祷を受ける学生さん達



お参りをして、お札を買う方は、
皆たくさんの枚数を買っていく。
私もおっさんの分と、自宅の分とで6枚買った。

石段を降りるとベンチのある広場があって、みなここで休憩している。
私も、行動食のナッツと羊羹で休憩する。木々の間からは、京都の街中が見えている。山頂は流石に涼しくて気持ちいい。

京都の市街がよく見える
うちわで仰ぎながら下山



無事にお札を買った事を、おっさんに伝えると、休憩して落ち着いたのか、先にゆっくり下山すると言う。
下山は、広い参道を下山する。大丈夫だと思うけど、後を追う様に、私も下山する。

登ってくる方に、

「おのぼりやすっ」

と声をかける。普段から登山している私にとっても、中々な本格的な山、神社に参拝する人にとっては大変な参道だ。高尾山の様な参道を想像していたが、全く違う、ここは山だ。

「後、どのくらいで山頂ですか?」

と聞かれ、

「30分くらいで、着きますよ」

と伝えたら、

「えー、まだ30分も〜」

と返事が返ってきた。
そうだよね、暑いし大変だよね。簡単に手に入らないから、このお札はありがたいお札だ。

おっさんに追いついて、
下山口にあった茶屋でお蕎麦を食べた。おっさんはイチゴのかき氷を食べている。
お札を買ってきた事を、いたく感謝され、お蕎麦は、おっさんのおごりだった。

愛宕山の湧水、汲んで帰った。



ホテルでそれぞれシャワーを浴び着替えて、街中に夕ご飯を食べに行った。
たまたま入った飲食店に、愛宕神社の火伏せのお札が貼ってあった。
炭を使うので、炭屋さんが持ってきてくれたと言う。

「あっ、だからみんなたくさんお札を買っていくんだ」

おっさんも、お世話になってる飲食店関係の方に配るのだという、私が山頂の神社まで登った事を、何度も感謝され、夕飯もご馳走になった。笑
日本酒と鮎、美味しかった。

お疲れ様、
京都弁に癒された素敵な「千日詣」でした。

お札



帰り、バスを途中下車して嵐山を散策

渡月橋

明日の朝は瓢亭の朝がゆです。

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