2021.1.11 故郷に帰るということ

故郷。
それは都会の県の、その中でも小さな街。
街と表現してもいいのだろうか、町、こっちの方がしっくりくる。


地元には、とある大きな産業の工場があり、町の多くの人が勤めている。
地元の友人、いや友人だった人たちも多く勤めている。

いつからだろう。
小、中学校の時には、なにも考えずに仲良くしていた。していたというより、仲良く“できた”の方が正しい。

いつからだろう。
それができなくなってしまったのは。


僕には、地元の友人がほんとうに、ほんとうに数えられる人数しかいない。
いや、
1人しかいない。
一緒にバンドを組んでいたドラマーだけ。

いつからだろう。
それは明確だ。すれ違いの始まりはわからない。でも、すれ違っていることに気づいてしまったのは、3年前の今日、そう成人式の日だ。

とある事情で、言わば閉鎖的な環境で勉学に励んでいた僕が、地元に帰った。

周りを見て驚く。

金髪。ピアス。着崩したスーツ。似合わない袴。まるで下品な化粧姿。品を感じない話し方。飲み自慢と車自慢ばかりの話。

まるで、ついていけない。

会話がなにも面白くない。

自分のレベルが高いとは到底思わない。
しかし、周りがあまりにも低俗すぎる。

少し、いや、正直とてもがっかりだった。
過去の話で盛り上がりたかった。
あの時の感情を共有したかった。
何億分の一の確率で幼少期を過ごした友人たちであったはずなのに。
はずなのに。

はずなのに。

はずなのに。

当時の僕には、何の感情も湧いてこなかった。
寧ろ、恥ずかしさまで感じていた。

悲しかった。
虚しかった。

どこからすれ違っていたのだろう。
どこで歩く方向が違ったのだろう。
どこでぼくたち、こんなに違う人生になってしまったのだろう。
どこで、どこでそんなに醜態になってしまったのだろう。

もしかしたら、僕の方が醜い姿なのかもしれない。

どうして、もう仲良くなれないんだろう。

ミラーボールみたいにきらきらしていた当時の思い出が、風呂場の排水溝のように汚く、地元に流れる川のように濁ってしまったのだろう。

僕が今思うこと。

そんな地元に、教師という立場で戻ること。

彼らを教育してやりたいとは思わない。

唯一の恩返しとして。

こんな環境でも、僕を育ててくれた故郷に、最低限の恩返しとして。

いつか、きっと彼らの子どもたちをみることになるかもしれない。

彼らにとっては、醜いと思われる僕が、教師として、僕の生き様を伝えていきたい。

2021.1.11

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