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死の受容に至る過程

 アメリカの精神科医、Kubler-Ross,E.は、多くの末期患者との面接をもとに、死に至る心理を研究し、臨死患者の心理過程を5段階に分けた。その「死の受容過程」はさまざまな障害の受容過程にも応用されている。
 
 自分が死を迎える身であることを知らされた患者は、ショックを受け、なかなか受け入れられない。これは何かの間違いであると否定し、認めない。それが、第1段階の「否認」である。次に、なぜ自分がこのような目に遭わなければならないのかという、自らの運命に対する怒りや憤りが生じる。これが、第2段階の「怒り」である。そして、多くは神との間で何らかの取り引きができれば、もしかするとこの不可避の出来事を少し先へ延ばせるかもしれないと考える。第3段階の「取り引き」である。しかし、無駄だと考えるようになり、抑うつ状態に陥る。これが、第4段階の「抑うつ」である。そして最後には第5段階の受け入れるべき運命として死を捉える「受容」に至る。

 Kubler-Ross,E.は、この心理過程は重複しても入れ替わりはなく順次経過するとしている。しかしながら、全ての患者がこの過程を経るものではなく、異論もある。また、哲学者のA.Deekenは、この5段階に加えて6段階「期待と希望」を付け加えている。

 

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