「夜更かしするのは今日という1日に満足してないから」の呪い
“夜更かしをするのは今日という1日に満足していないから”
インターネットや漫画等でたまに見かけるこの理論。皆さんはこの理屈を一体どこで初めて見たか覚えているでしょうか。
私ははっきり覚えている。
それは三秋縋(みあき すがる)という小説家のこのツイートである。
このツイート、投稿されているのが2012年12月25日。クリスマスである。
もう当該ツイートは削除されてしまったようなので引用はできないが、三秋縋本人が「このツイートは内容と合わせて『クリスマスの深夜にTwitterなんかをやっている(=ひとりでいる)』という遠回しな自虐ネタだ」ということをツイートしていた記憶がある。
三秋縋という小説家が得意とするジャンルはボーイミーツガールであり、クリスマスの話も書いているというのもこの自虐の中に含まれるのであろう。
そして記事タイトルにある「呪い」というのは、このツイートが発端にある。
ところで2012年頃のTwitterとはどういう場所だったか覚えているだろうか?
そう、パクツイでフォロワー数を稼ぐアカウントがゴリゴリにのさばっていた時代である。(copy writingとかね)
上記の三秋縋のツイートもバズり、例外なくめちゃくちゃパクツイされていた。検索すると今もなお放置されたパクツイアカウントたちのツイートが延々と出てくる絵面はちょっとしたホラーだ。
(微妙に文面を変えてるのがムカつくね)
「呪い」というのはここからが本題で、まず私はこの理論を三秋縋のツイート以前に見たことがない。たまに検索もしているのだが、2012年以前のソースとなるような文章を見たことがない。
ここで必然的に一つの仮説が生じる。「この『今日という日に満足していないから夜更かしをする』という理論は三秋縋の創作ではないのか?」という仮説だ。
それ自体はどうということはないのだが、果たしてこの理論を使用している人間(パクツイアカウント以外で)の中にはどれくらい2012年(もう9年も前だ)の1万リツイートされたツイートを見た人間がいるのだろうか。
単刀直入に言うと、この理論を見るたびに「ウッ!三秋縋のパクツイ(を二次転載三次転載されたものをソースにしているかもしれない人!)」とかなり微妙〜〜な気持ちになってしまう自分がいるのである。(もはやインターネットミームと化してしまっているので責める気持ちにはならなくはあるが、どうしても個人的に気になってしまうのである)
……。
嫌だ……。
助けてくれ〜〜!
この呪いは「この理論は三秋縋の創作ではない」という証拠さえあれば解けるものなのである。(真相はどうあれ、判明することはないのだから“そうでない”という可能性がほしい。)
前述した通り、たまに思い出しては調べているのだが見つからない。
なかったのだが。
今日、「revenge bedtime procrastination」という海外ミームと遭遇する。
内容は「夜更かしするのは今日という1日に満足していないから」というものにかなり近しい意味である。
まさか今まで見つからなかったのは海外が発祥のものだったからなのか!?もしかして三秋縋はこれを参考にしたのか!?と思い、早速調べてみる。
The term bedtime procrastination became popular based on a 2014 study from the Netherlands.[3]
The "revenge" prefix was believed to be added first in China in the late 2010s, possibly relating to the 996 working hour system (72 hours per week).[4] "Revenge" because many feel like it's the only way they can take any control over their daytime self.[4]
ザックリ和訳するとこう(自動翻訳使ってるから間違ってたらゴメン)。
bedtime procrastinationという用語はオランダの2014年の研究に基づいて人気(ポピュラー)になった。
revenge(復讐)という接頭辞がついたのは2010年代後半の中国が発祥だと考えられる。おそらく996工作制(※)が原因。
「復讐」と付くのは、多くの人が昼間の自分をコントロールできる唯一の方法と感じているからです。
※…午前9時から午後9時までの労働を週6日間するというブラック労働のことらしい。
ち、違うんか〜〜〜〜い!!!
違いました。
でもこれで三秋縋のパクツイ以外にもちゃんとしたソースがあるようなので、ようやく呪いとオサラバできそうです。
よかったね。
みんな早く寝ようね。
おわり。
余談
三秋縋作品の中では「クリスマスの夜の孤独」は割と重要なファクターである。
コミカライズされ、映画化も決定している「恋する寄生虫」では主人公がクリスマスの夜にスマートフォンの連絡手段が一切使えなくなるというウイルスソフトを作成してバラまくという悪行(しょうもなくて好き)をしている所から物語は始まる。
「スターティング・オーヴァー」もクリスマスが中心となる物語だ。
二周目の人生は、十歳のクリスマスから始まった。全てをやり直す機会を与えられた僕だったけど、いくら考えても、やり直したいことなんて、何一つなかった。僕の望みは、「一周目の人生を、そっくりそのまま再現すること」だったんだ。しかし、どんなに正確を期したつもりでも、物事は徐々にずれていく。幸せ過ぎた一周目のツケを払わされるかのように、僕は急速に落ちぶれていく。―そして十八歳の春、僕は「代役」と出会う。変わり果てた二周目の僕の代わりに、一周目の僕を忠実に再現している「代役」と。
「スターティング・オーヴァー」は原案が無料で全文公開されてるから試しに読んでみるのもオススメです。
オススメです。
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