どこに置こう本棚

 本を買うたびに思う。この本はどこに置こうと。
 私の本棚は基本的にとある本を購入して以来、この本を基準に置いていくという基準がある。その本の名前は『完全自殺マニュアル』である。
 
 今からするのは完全なる自語りである。
 もしかしたら嫌な気持ちになるかもしれない。途中で気分が悪くなったらすぐにブラウザバックをしてほしい。無理をするな。ずっと残しておく予定です。今読まなくてもいい、そんなお話をしよう。



 私はかねてより「死」に興味があった。届きそうで届かない。少しの恐怖と戸惑い、そして願望。何度か自殺未遂というものをしたことがある。もう絶対しない。そう思った理由は挫折を感じたからだ。意識を失うまでは良かった。目が覚めてしまった。これは失敗したのだと察した。馬鹿みたいに落ち込んだ。死ぬ前のあの気分の悪いのが全部「死ねなかった」という嫌悪感が塗り替えっていった。これはダメだと思った。メンタルがやられるというのはこういうことを言うのだと思った。
 私は馬鹿なのでまた同じことを繰り返した。ダメだなぁ。そしてまた死ねなくて今生きているってわけ。
 あの時々に死ねなかったことが人生で一番の過ちだと思う。それは嫌なことがあった時に毎回思うのだ。ああ、すごくコンプレックス。
 だから、もうこれ以上は失敗できないと思った。だから「完全自殺マニュアル」を買った。これを読んだらもしかしたら届くかもしれない。私が思い描いているあの理想的な世界へ。でも、この世で一番私を救った本だった。一番理想とは遠かった。未遂になってしまった人の後遺症、死ぬ前に味わう恐怖や苦しみ。この死に方をするならこのやり方はやめておけ。ここで死ぬにはこの注意点がある。これで私は晴れて寿命を延ばすことに成功。そしてここで今生きている。そして後書き。本当にこの本を全て読んで確かに変わった価値観があった。「死」を考えることが悪だとは言わない。このマニュアルは私が死を考えるたびに読むのだろう。本棚の中央に置いてある。

 「本を書く」その手間を惜しんでまで私に死ぬことを面倒臭いと思わせたこと、一瞬怯ませてくれたこと。もしこの本の存在意義が「誰かを生かすこと」であったならば、こんなにも手間ひまかけて知識をつけてわざわざそれを伝えるために「本にした」こと。顔も名前も出会ったことすらない人を生かすためにこんなにも頑張ってくれる人がいる。それだけで少し人という生き物を、それを取り巻く環境を美しいと思ってしまった。

 そうだった。私の本棚の話をしていたんだった。一番価値観を変えた本。そんな理由で私の一番真ん中を陣取ったこの作品をもとに本棚を構成していく。その隣にはやはり自分のお気に入りというかなんというか。そんな本が置いてある。最近自分が読んでそれなりに価値観が変わり、面白いと思った本が並ぶ。基本的に「完全自殺マニュアル」を中心に動く本棚だ。基本的に好きな本は好きな場所に置く。本棚は移動する。私の感情によって変わるこの本棚は自分の欲が詰め込まれているなとつくづく思う。
 本棚といえば、剣持刀也くんの虚空教典、雑草で酔う、LGBTを読みとくなどは取りやすいところに置いてあります。まだ読めていないけど数学文章作法もその辺に。色々と変化する本棚はとても面白い。今度から動かすたびに写真を撮っておこうかな。1年後とかに見返してこんな時期もあったねなんてみんなとお話しできたら楽しそうだ。

サポートしていただけると嬉しいです。 未熟ではありますがこれからも頑張ります!