見出し画像

本日の一曲 vol.283 イエス 海洋地形学の物語 (Yes: Tales from Topographic Oceans, 1973) Welcome to Japan!

イエスの今年9月の来日が決まったようです。

この公演では、「特筆すべきは1973年にリリースされたアルバム『海洋地形学の物語』の50周年を記念した「全曲メドレー」で、2枚組全4曲でトータル80分に及ぶこの大作のエッセンス(聴きどころ)をギュッとコンパクトに編集した約20分のヴァージョンは、この壮大な作品を再確認、再評価する絶好の機会となるだろう。」(同ホームページ)とのことです。

「トータル80分」というと、クラシックでいうと、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」に匹敵するくらいの規模ですね。演奏会でも大体1回の演奏会でこの1曲だけ演奏されるという規模です。

このような大作が志向された背景については、「人生は川のようなもの」さんの以下の記事に詳しいです。

「海洋地形学の物語」は、次の4曲からなります。発売当時は2枚組のビニール盤で、片面1曲の合計4面の4曲収録でした。スタンダードな交響曲のような構成(第1楽章のアレグロ、第2楽章の緩徐楽章、第3楽章のスケルツォ、第4楽章のフィナーレ)だと表現する方もいらっしゃいます。

このような内容のアルバム制作について、リーダーシップをとったのは、ジョン・アンダーソン(Jon Anderson)さんであり、ヨーガ指導者のパラマハンサ・ヨガナンダ(Paramahansa Yogananda)さんの自伝「あるヨギの自叙伝」を読んで感化され、このアルバムのコンセプトを創り上げました。

この「あるヨギの自叙伝」は欧米の人々にはかなり受けたらしく、ジョン・アンダーソンさんもその中の一人です。

1曲目、神の啓示~The Revealing Science of God (Dance of the Dawn)

2曲目、追憶~The Remembering (High the Memory)

3曲目、古代文明~The Ancient (Giants under the Sun)

4曲目、儀式~Ritual (Nous sommes du soleil)

ジョンさんは、イエスのメンバーにこのコンセプトを売り込みましたが、味方になってくれたのは、ギタリストのスティーヴ・ハウ(Steve Howe)さんだけで、他のリック・ウェイクマン(Rick Wakeman)さん、クリス・スクワイア(Chris Squire)さん、アラン・ホワイト(Alan White)さんの3人、特にリックさんはレコーディングにろくに参加もしなくなってしまったのです。リックさんは、この録音の時に、隣のスタジオでレコーディングをしていたブラック・サバス(Black Sabbath)のオジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)さんと親しくなり、ブラック・サバスの5枚目のアルバム「血まみれの安息日(Sabbath Bloody Sabbath)」に収録された「サブラ・カダブラ(Sabbra Cadabra)」のレコーディングに参加したりしていました。

リックさんは、このアルバムのツアーが終わると、1974年にイエスを脱退してしまいました。

この「海洋地形学の物語」は、イエスにとっては問題作だったのですが、今回の来日では、20分程度に全体を収めたメドレーを演奏するようです。アルバムリリース当時のメンバーは、スティーヴ・ハウさんだけなのですが、どのようなライブになるのか楽しみです。

(by R)


読んでくださってありがとうございます!サポートしていただけるととても嬉しいです!