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THE GUILD勉強会#3「データ×UXデザイン」 第1部:安藤さん(THE GUILD)

この記事は、THE GUILD勉強会#3「データ×UXデザイン」の 第1部で登壇された、安藤さん(THE GUILD)(@goando)の講演内容のレポートです。

実際に使われたスライドはこちら↓

では講演内容です。

デザインとコミュニケーションで改善するデータのUX

THE GUILD創業者の安藤さん。元々はSIerからキャリアをスタートさせ、現在はデザインとデータの領域にまたがってお仕事をされています。
主にU-NEXTとpiece of cake、2社のサービスの事業会社さんでデータ分析をされています。

では、データ分析の業務とは実際にはどのようなことをするのでしょうか?

まず分析をするにあたって、ビジネス課題の整理。それに応じて主要なKPIの可視化をし、必要に応じて市場調査やユーザーインタビューを行います。分析の結果得られた施策案はABテストでその効果を確かめ、実施後はその経過を観察します。

これらの経験を踏まえて、今回のテーマは以下の通り。

なぜ、このテーマにしたのでしょうか。

(ここでいくつか会場に質問。企業勤めの方が多かったけれど、自社でデータ分析をしています!という方はあまりいませんでした。職種的には、ほとんどがデザイナーで、データ分析をしている人はかなり少数。)

最近企業の方の話を聞くと、どの会社もデータ分析はしているが、より多くの人を巻き込んで効果的には行えていなさそう。社内全体に「データを分析すること」が普及していないのではないかと、疑問持ったそうです。

それを裏付ける事実として、総務省が公開しているデータがあります。
下のグラフは、日本とアメリカの企業それぞれが、データをどのくらい活用しているかを示しています。

データを活用している企業は日本は5割でアメリカは7割。

その中でも、積極的に活用しているのは日本は3割でアメリカは6割。ここに大きな差があります。

また、下のグラフはガートナーさんが公開しているデータです。データを活用している企業内で、どのくらいの社員が実際にデータを扱っているのかと言う調査結果です。

これを見ると、6割の企業が2割以下の社員しかデータを扱っていません

ここから言えることは、日本の企業がアメリカの企業に対して非常に遅れているということ。けれど、これだけギャップがあるということは、今、日本でデータ分析を積極的に扱うことは大きなチャンス、アドバンテージにもなり得ます

では、なぜ社内でデータの活用が進まないのでしょうか?
以下のようなダッシュボードは、どの会社にもあると思います。

けれど、このようなダッシュボードは、なかなか有効活用されていません。ほとんどの人は見ておらず、ただ置いてあるだけ。何故なのでしょうか?
安藤さんは、こういうダッシュボードを見て違和感を感じます。

その違和感を考えたところ、上のようなダッシュボードは、飛行機の操縦席にそっくりだということに気づきました。

これを見て何かアクションするのは、相当手練れの人でないと難しい。
飛行機はパイロット以外の人が操縦することを想定していないため、これでいいのかもしれませんが、もちろんIT企業のダッシュボードはこれではダメです。

これを踏まえ、ダッシュボードのよくある問題点は以下の通り。

グラフが何を表しているのか判らないと、社員のデータに対する認知が進みません。すると、後々そのデータが必要になった時に、データの置き場所すら分かりません。更に、データを介した社員同士のコミュニケーションが進みません

データ分析をする際に社員同士のコミュニケーションが非常に大事だと、安藤さんは考えます。

データ分析をする際に、現場の意見が非常に重要になってきます。データ分析はその専門の人だけに閉じられてはいけません。
またデータを活用する人が増えるほど、社員同士で共有する事実が増えていきます。すると、社員の企業に対するピントが合っていき、意思決定の精度が上がっていくはずです。

初めの問いに戻ります。なぜ社内でデータの活用が進まないのでしょうか?
安藤さんは、その原因仮説として「データのUXが悪いから」と考えます。

これに対して、デザインとコミュニケーションを使って、データのUXを改善していきましょう、というのが今回のお話です。

データのUXをどうデザインで改善するか

今回はまず、インフォグラフィックに焦点を当てて紹介していただきました。インフォグラフィックとは、例えば以下のようなものです。

サッカーの試合のボールの保持率をグラフで表したり

世界のビールの出荷量がどこが多いかを示したり、

これは怪獣の歯の部分がグラフになっています。

こういう、ただの棒グラフもれっきとしたインフォグラフィックです。

インフォグラフィックにはベクトルがあり、全部が一本の線上にあります。どちらの方向を向いているかで、ここまで変わってきます。

図の左端は「探索型」で、インフォグラフィックを見る人が能動的にその意味合いを見つけるものです。反対側は「ストーリーテリング型」で、能動的でない人も含めた、より多くの人にストーリーと共に意味合いを伝えるものです。

インフォグラフィックには3つの利用目的があります。

1つ目はマーケティングで、企業のプロモーションや販促などを目的としたものです。
2つ目はエディトリアルで、新聞や書籍などの出版物の中に含まれるもの。
最後に学術・科学で、ビジネスやアカデミックの中で、論文に添えられるものです。

この3つがどう構成要素が違って成り立っているかを表したものが以下の図です。

インフォグラフィックは3つの優先度によって成り立っています。
より多くの人に認知してもらうための訴求力、どれだけ長く記憶にとどめてもらえるかの記憶保持、そして理解

例えば、マーケティングのためのインフォグラフィックだと、膨大な情報の中、まず自社のPRに気づいてもらわなければならず、訴求が優先度大。また販促の場合、見て終わりではダメで、購買の機会に思い出してもらう必要があるので、その次に記憶保持がきます。
エディトリアルだと、訴求が一番なのは変わりませんが、次に理解がきます。
学術・科学だと、理解がもっとも優先度高くきて、その次に記憶保持がきます。

主に社内で扱われているデータの表現は、学術・科学で扱われているデザインの域を出ないのではないかと安藤さんは考えます。
学術・科学とそうではないインフォグラフィックで、パフォーマンス上どう違うのかということを研究した論文があります。

同じデータを扱っている怪獣のインフォグラフィックと、ただの棒グラフ。それらを異なる2つの対照群にみせ、どう思ったのかを回答してもらったものです。

好ましさ、美しさ、魅力的といった情緒的な価値はもちろん、説明しやすい、覚えやすいといった機能的な価値についても怪獣のグラフの方が良いという結果になりました。

同じデータであっても、どういうメッセージを伝えたいのかをはっきりさせたり、視覚的に美しくしたりすることで、より多くの人に訴求でき、記憶に留めてもらいやすいということが言えます。

それを知ってもらいたくて、安藤さんは以下のようなインフォグラフィックについてtwitterで呟いていらっしゃります。

データを介したコミュニケーションを活性化させる

次に、コミュニケーションのお話です。

こういうダッシュボードではコミュニケーションの取りづらさがあります。

けれど、全てのダッシュボードがイケてないかと言われると、そうではありません。ダッシュボードをうまく扱うためには、ある程度高いデータ活用のレベルが必要なのです。
つまり、データの活用し始めた初期の段階ではダッシュボードをうまく扱えず、コミュニケーションが生まれにくいので、あまり急いで作ることはありません。

そこで、お手伝いしているpiece of cakeのnote分析チームでは、slackをダッシュボードにしており、これがコミュニケーションを生むのに効果的です。

例えば、以下のような感じ。

グラフが毎日30個くらい送られてきて、それに対して何が起こったんだっけという話から始まり、コメントのやりとりが発生します。
さらに、コメントをしなくとも、スタンプを押すだけで感情表現ができます。

なぜslackがいいのかというのと、以下の通り。

備え付けのディスプレイにダッシュボードを映しても、その前に2人以上いないとコミュニケーションは生まれません。さらにそのコミュニケーションは、その場でしか他の人は見れません。slackを使うことで、いつでもどこでもカジュアルにコミュニケーションが生まれ、それを他の人が見ることができます。
そもそもグラフから何を見いだせるのかは、経験を積まないと分かりません。コミュニケーションを可視化し、それを見続けることで、他の人がデータに対してどういう見方をしているのか、何を気にしているのかが分かってきます。これを繰り返すと、その企業にとって重視すべきKPIが見えてきます。
このプロセスを踏まないでダッシュボードを作ると、何がその会社にとって重要なKPIなのか判らないまま進めてしまい、結果的に誰もダッシュボードを見なくなってしまいます。

社内にダッシュボードがあるけど、データの活用が進んでいないところにslackはおすすめです。

では明日から何をすべきでしょうか。

より多くの人に伝わるデータのビジュアルをデザインすること、なるべく多くの人にデータを活用してもらうべくコミュニケーションそのものをデザインすること。

デザイナーとデータサインティストは距離がある場合が多いけれど、お互い並び合うことで学べることが非常にたくさんあります。
デザイナーはデータについて学んで事業の成長に活かして欲しいし、データサイエンティストはどうすればデータを分かりやすく見せられるのかを学んで欲しい。

そうすることでこれら2つの職種間の距離が、こうから

こうなって欲しいです。


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web系SaaSスタートアップで働くデザイナーです。大学での専攻はロボット工学でした。認知心理もかじりかけ。展示に行ったり、漫画を読んだり、ビールや日本酒を飲んだり、美味しいごはんを作る努力をしたりして生きてます。胃弱。
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