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[地球一周142〜146日目]筋肉を震わせて

クスコの街並みは鮮やかだ。赤瓦にたまに黄色や水色やピンクのビビッドな色合いが入る。
標高3400mだと常に風が吹き空気が澄んで、モノはくっきり見える。高層ビルや自動ドアやクーラーとは無縁の商店が立ち並ぶ。町の仲間である犬たちに首輪はなく、おだやかな表情で歩いている。夜はオレンジの灯りが温かな星のように辺りを照らす。

オリャンタイタンボで全身の痛みと食欲がなくなる高山病を経て、マチュピチュへ向かう。
初めて見る山々はもののけ姫の深い森にも似ている。谷底から何往復も蛇行しながらバスはマチュピチュへ登る。現実味のない高さと冷たい石。石の表情がペルーは多い気がする。石の形に合わせたり、デザインしたり、規則正しく並べたりと道や壁を見ることが面白い。

シンギュラリティが近づく今、毎秒ごとに進化が進み、自らでできることが増えているという。
そんな中、ペルーの時間はゆっくり流れている。ペルー人の仕事ぶりは見ていて楽しそうだ。にこやかなミーティング、シャベルを使った道路の舗装、屋根を直すトンカチの音とおしゃべり。
車椅子に乗っている若者が今日も歌を奏でている。連日続くストライキの太鼓と掛け声も聞こえる。感じたことのない畏れを建物に感じながら、筋肉を震わせて旅を続ける。

今日の音楽: SiM「The Rumbling」
トントントン アルパカ歩く カラフルに

ひとりの人間の真摯な仕事は  おもいもかけない遠いところで  小さな小さな渦巻きをつくる           「小さな渦巻き」茨城のりこ