ありがとう〜地球一周の旅へ〜

世界一入りたい会社は、私が小さい頃から

通っていた百貨店だった。

大学時代に講演を聞いてファンになった社長

と面接で話をした時、

「ディズニーランドのような場所にしたい」と

いう気持ちが同じだ、と聞き興奮した。

店頭に立ってお客様におすすめした商品を

購入してもらえた時、ラッピングに手間取り

お待たせしてしまった時、言葉が足りずに上司と

共に謝った時、初めて1人でレジ締めをした時‥。


あっという間の半年が過ぎて、お中元の応援に行くことになった。研修内容を理解はしていたが、実践できる所まではいっていなかった。同期が中心に現場を運営していく中で、私は質問をされても答えられない社員だった。

大学生と同じ気持ちのままだったのだと気づいた。学生であれば、勉強をしてもしなくても結果を引き受けるのは自分だけ。しかし、仕事となるとお客様へ影響を与えるのだと学んだ。

とにかく目の前の出来ることをしよう、とお持ち帰りカウンターで自身のベストを尽くした。

「あなたの接客は良いね」と褒められた初めての場所となった。

その後、経営企画部に異動となり、ここは私の大好きな部署となった。企画をやりたい、とお店に交渉して、バレンタインにチョコレートコスモスのブーケを作った。ちょうどその日が誕生日の友達は、ほのかにチョコレートの香るプレゼントに心の底から喜んでくれた。一輪のコスモスと私が写真を撮って作ったチラシを、持っていってくれたお客様もいた。

この光景を私は一生忘れない。

子ども達の将来の夢を募集して、その実現を応援するイベントも企画した。初めての全館企画に準備は予想以上に進まず、ある日上司に「本気でやってる?」と聞かれた。私の今の仕事は、本気のレベルには達していないのだと知った。

お仕事体験を実施するのか、プレゼントを贈るのか、その2択を選ぶ時期に来ていた。

その時に私の頭をよぎったのは、「仕事の状況を考えるとプレゼントを贈るほうが良い」というものだった。

愕然とした。

私が一番最初にやらない、と決めた考え方だった。

「お客様に笑顔とおもてなしのハッピーセットを届ける」
これが同期みんなで考えた最初の約束だ。

全身全霊をかけて、起きている間中、おそらく寝ている間もお仕事体験の準備に取り組んだ。

子ども達はキラキラと仕事をしていた。

美容師になりたい女の子は、日頃からヘアアレンジをしている器用さを活かして、ヘアカットをした。お母さんは「このまま結婚式に行けるね」と涙ぐんでいた。

「一生の思い出になりました」と、別のお母さんからお手紙も頂いた。

肉体も精神も使い果たした企画で、一度人生が終わりかける事故もあったから、企画をやることが怖くなった。

でも、「想像」が仲間と一緒にやると「想像以上」になる。これから人生をかけて仕事としてやりたい、と時間をかけてやっと思えるようになった。

出会った全ての人や体験が、私の今の道に繋がっている。

感謝という言葉だけでは伝えきれない思いばかりだけど、ありがとう。

3年毎日思いつづけた「地球一周」へ行ってきます。

ひとりの人間の真摯な仕事は  おもいもかけない遠いところで  小さな小さな渦巻きをつくる           「小さな渦巻き」茨城のりこ