見出し画像

[地球一周99〜101日目]争いの音


本当に身体が未知のウイルスなのだと感じる。
今まで体験してきた風邪のどれとも
違う反応を示す。だいぶ落ち着いてきたが
普段であれば加速度的に良くなるはずが、いきなり咳が止まらなくなったりする。

調子の良かった時にスカラ座へコンサートを聞きに行った。ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」はソチオリンピックで浅田真央のフリーに使われた曲だ。
戦争状態の今、ロシアの音楽は演奏が見送られる曲があったりするが、お客さんはほぼ満員。
真摯なピアノが聞こえる。しかし、オーケストラ1人1人のポテンシャルは高いのにも関わらず、楽器本来の響きが出ていない。誰も指揮者を見ていない。ピアノの音だけでリズムを把握しているから細かい部分が微妙にズレている。
ただ、オーケストラと指揮者の息が合ってないという理由なのか。指揮者が急に変わったからなのか。

キャンセルカルチャーという言葉を、このコンサートを調べている中で知った。「不祥事を起こした者や、社会的に不適切と思われる言動をした者を排除する」という動きという。
本来指揮をする予定だったロシア出身指揮者のトゥガン・ソヒェフはフランスとロシアの音楽監督を担っていたが、どちらかを選ぶという不可能な選択を迫られたことから、どちらも退任したとメッセージを発表していた。
音楽やスポーツは言葉を使わず心を通じあわせることができたりするが、どんな美しく静謐な劇場にいても戦争の音が微かに聞こえるのは穏やかではない。

今日の音楽:ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」
ガラス窓 オーケストラが 涙する

ひとりの人間の真摯な仕事は  おもいもかけない遠いところで  小さな小さな渦巻きをつくる           「小さな渦巻き」茨城のりこ