日本語の歌は母音「あ」が多い…?

母音が「あ」の音(あかさたなはまやらわ)で歌い出す歌のことが、気になっています。
昔、アイドルの松田聖子さんの80~90年代の歌唱を、

「『あ』の発音がうまい。だから作詞家も松田さんの歌に『あ』を使うことが多いのだろう」

と分析する評論を読んだからかもしれない。
松田聖子さんの歌で、歌い出しが「あ行」の歌は、確かに多いです。

【松田聖子】
あぁ,わたしの恋は南の風に…
赤いスイートピー…
風立ちぬ…
渚のバルコニーで待ってて…
懐かしい痛みだわ…
ガラスの林檎たち…
夏の扉を開けて…
ハートのイヤリング…
あなたに逢いたくて…

でも、試しに、同じ時代のアイドルの中森明菜さんの歌も確認しました。するとやはり「あ」が多かったです。松田聖子さんだけではなかったのか…。

【中森明菜】
真っ逆さまに落ちてdesire…
あいさつするのよ海風に…
LOVE is the mystery、わたしを呼ぶの、愛はミステリー…
わたし少女A…
ハッパ、かけたげる、さぁ、カタつけてよ…
たかが恋なんて、忘れればいい、泣きたいだけ、泣いたら…
飾りじゃないのよ、涙は、はっは…

さらに時代を遡り、3人組アイドルのキャンディーズのヒット曲を確認しました。

【キャンディーズ】
春一番が…
あの人は、悪魔…優しい、悪魔…
真っ赤なリンゴを頬張る…
あいつは、あいつは、可愛い年下の男の子…
アンドゥトゥロワ(un deux trois)…
ハートのエースが出てこない…

全部の歌ではないけど、やはり「あ」が多い気がする。
続いて同じ時代の二人組アイドルのピンクレディも確認しました。

【ピンクレディ】
カルメン…
渚のシンドバッド…
私の胸の鍵を壊して逃げていった…
私ピンクのサウスポー…
カメレオンアーミー…

さらに時間を遡り、山口百恵さんも。

【山口百恵】
あとどのくらい…
バカにしないでよそっちのせいよ…
秋の日のコスモスが…
あなたに女の子の一番大事なもの…
誰でも一度だけ経験するのよ…
あ、あ、あ、イミテーションゴールド…

やっぱり「あ」が多いような気もします。

【女性歌手の演歌】
雨雨降れ降れもっと降れ、私のいい人…(雨の慕情)
ああ、津軽海峡冬景色…(津軽海峡冬景色)
天城越え…(天城越え)
川の流れのように…(川の流れのように)
浪花節だよ…(浪花節だよ人生は…)
愛、さんさんと…(愛燦燦)
真っ赤に燃えた、太陽だから…(真赤な太陽)


「別れても好きな人」はとくに、
「別れた人に、会った、別れた渋谷で、会った、別れた時とおんなじ、雨の夜だった、傘も刺さずに…」「やっぱり、忘れられない、変わらぬ、優しい言葉で、私を包んでしまう、だめよ弱いから、別れても好きな人」
と、「あ」が多いように感じます。

「長崎は今日も雨だった」も、
「あなた一人に、かけた恋、愛の言葉を信じたの、探し、探し求めて…」
「ああ、長崎は今日も、雨だった」
と、「あ」が多いと感じます。

「ラブ・イズ・オーバー」も、
「ラブ・イズ・オーバー、悲しいけれど…」「ラブ・イズ・オーバー、泣くな男だろう、私のことは、早く、忘れて。私は、あんたを、忘れはしない、誰に、抱かれても、忘れはしない」
と、「あ」がけっこう続きます。
女性歌手、もしくは、歌の主人公が女性であるとき、「あ」が多いのかな?

そもそも、歌詞によく使われる言葉の、出だしの母音が「あ」のことが多いです。

「私」「あなた」「愛」「会いたい」「さよなら」「別れ」「涙」「泣く」「待つ」「旅立つ」「優しい」「雨」「探す」「抱かれる」「誰」「酒」「忘れる」「悲しい」「寂しい」

などなど。
なぜ…?
あっ…「なぜ」も、母音が「あ」だ…。

理由はわかりません。わたしが「あ」を気にしているから、「あ」で始まる歌が目に入ってきてしまうだけなのかな?
それとも、日本語話者が、女性の言う「あ」が好きなの? 民族的な特徴なの? わからない…。自分のことなのに、ぜんぜんわからないです。

待って。「昴」も「我は行く、青白き頬のままで、我は行く、さらば昴よ」と、「あ」が続いているところがあります。だから女性とは限らないのかな。

部分的に、「あ」が続く部分のある歌詞も気になってきます。
「明日は、ただの、他人に、なるけれど」
「迷子に、ならずに、帰ってきてね」
こんなふうに「あ」が続くと、聴いていて、耳が気持ちがいいです。これは日本語話者だけの感覚なのかな…。


母音といえば。
母音が『アイウエオ』の5種類なのは日本語だけなのかな、と疑問に思って、調べてみました。すると英語も「a,e.i.u.o」の5種類でした。
中国語は「a,o,e,i,u,ü」の6種類で、「ウ」が二つありました。自分の耳はこの二つを聞き分けられないような気がします…。
さらに、
「中国語は母音が36個、子音が21個ある。組み合わせによって約400種類の音がある」
というデータも出てきました。日本語の45種類よりもかなり多いです。
中国語の歌を聴いているときは、じつは、ものすごく多種類の音を聴いていたのだな。それはわかると思います。音が多いためか、重奏的に豊かに聴こえています。

そういえば、中国語の歌を聴くときは、わたしの耳はなぜか「あ」を拾わないようです。唯一、耳が拾ったのが「走过珈琲屋」の「cafe」です。これは英語だからかも。
中国語の「a」は日本語の「あ」とは違う「a」なのかな。もっと多角的な「a」…? うーん、難しい。わからない。

昨夜から考えていましたが、よくわからなくて、結論がないです。

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