中国の詩「黄鶴楼」四首

黄鶴楼は「中国四大名楼」の一つです。
湖北省武漢の黄鶴楼
湖南省岳陽の岳陽楼
江西省南昌の勝王閣
山東省蓬莱の蓬莱閣
黄鶴楼と岳陽楼と勝王閣は「江南三大名楼」とも呼ばれています。

由来として、
「酒屋に老人が来て、ただ酒を飲み続けた。半年経ち、店へのお礼にと、店の壁に黄色い鶴を描いて去った。鶴の絵は、客の歌に合わせて舞い、店は繁盛した。十年後、老人が再訪し、笛を吹くと、鶴が壁から出てきた。老人は鶴にまたがり、雲と共に空に消えた。酒屋は仙人に感謝し、黄鶴楼を建てた」
という伝承があります。

黄鶴楼が登場する漢詩。

「黄鶴楼送孟浩然之広陵」李白
故人西辞黄鹤楼
烟花三月下扬州
孤帆远影碧空尽
唯见长江天际流
(訳)
黄鶴楼で友と別れる。春の花が霞む。君は長江の下流へゆく。君の乗る船の帆が、青空の向こうに消えていき、あとには川の水が流れるばかり。

「黄鶴楼」崔颢
昔人巳乘黄鹤去
此地空余黄鹤楼
黄鹤一去不复返
白云千载空悠悠
晴川历历汉阳树
芳草萋萋鹦鹉洲
日暮乡关何处是
烟波江上使人愁
(訳)
黄色い鶴に乗って仙人は去った。この地に残る黄鶴楼よ。鶴が飛び去っても、雲は帰ることなく、今も空を流れている。漢陽の木々は陽を浴びて立ち、鸚鵡の洲には草が生い茂る。黄昏が迫り、故郷を見れば、靄が立ち込め、心が悲しくなる。

「黄鹤楼」陆游(宋の詩人)
手把仙人绿玉枝
吾行忽及早秋期
苍龙阙角帰何晩
黄鹤楼中酔不知
江汉交流波渺渺
晋唐遗迹草离离
平生最喜聴长笛
裂石穿云何处吹

「菩萨蛮・黄鹤楼」毛沢东
茫茫九派流中国
沉沉一线穿南北
烟雨莽苍苍
亀蛇锁大江
黄鹤知何去
剰有游人处
把酒酹滔滔
心潮逐浪高

漢詩の本に出てくる「武昌」という地名は、湖北省武漢の武昌区のこと。

湖南省の岳陽楼も、杜甫の「登岳陽楼」、孟浩然の「臨洞庭」に登場。二つの詩の一部が、楼の左右の門に一つずつ刻まれています。

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