中国の詩、「清夜悠悠」秦观

「清夜悠悠(桃源忆故人)」秦观

玉楼深锁薄情种,清夜悠悠谁共?
羞见枕衾鸳凤,闷则和衣拥。
无端画角严城动,惊破一番新梦。
窗外月华霜重,听彻《梅花弄》。

(私の不正確な訳)
「桃園で古い友を偲ぶ」
夫が不在で、まるで翡翠の塔に閉じ込められているような気持ちだ
この晴れた夜を、誰と共に過ごせるのか?
見るのも恥ずかしいが、布団に鴛鴦のカップルの刺繍がある
人間なのに、私という女は、鳥にも劣っているんだと思う
ようやく眠って、良い夢を見た気がするけれど、城からの角笛に起こされてしまった
窓の外の月明かりも、霜が降りてきて、重たい
一人ぼっちで「梅花弄」を聴いている


読解するのが難しい詩です。
タイトルに「古い友」が出てきて、本編には出てこないから。
この友が、大事なテーマなのかな?

主人公は女性で、夫が不在の、孤独な夜に耐えているらしい。
悲しくて、なかなか眠れないらしい。
彼女の不安な気持ち、夜の冷たさが、ひしひしと伝わってきます。

「梅花弄」という歌は、古い友の思い出と関係があるのかな?
昔、一緒に聴いたとか?
若い、独身の頃の、自由な友情かな…

一人ぼっちの主人公に、歌が寄り添う。その歌が古き友の思い出を優しく連れてくる。
夫の不在による寂しさから、懐かしい友の思い出へと、気持ちが流れる。少しだけ心が暖かくなっていく。
そんなふうに、わたしは読みました。でも全然違うかもしれません。

夫を待つ塔は「玉楼(翡翠の塔)」。
友の思い出の場所は「桃園」。
翡翠は緑色。寒色。冷たい色のイメージです。
桃はピンク。暖色。暖かく包み込むイメージです。
そう感じたことも、読解に繋がりました。でもこれが中国と日本の共通のイメージかどうかも、わからないな…


添翼さんが説明文で、
「忆故人维度最多,内容最丰富的作品之一」
「我演唱的时候,有种寂寞但非惆怅的感觉」
と書いていました✨


【追記】同日21:39
ちょっと待って…
中国の解説サイトを翻訳して読むと、一行目の「玉楼深锁薄情种」とは、

女性が「愛のない男」によって私室に閉じ込められていることを意味します。古代、女性は外の世界との接触がほとんどなかったので、夫が外出すると、まるで翡翠の建物に閉じ込められているかのように感じました。

とあります。また、

「薄情种」は、中国文学における、薄情な恋人、心のない男性を指します。

とあります。
というか、「薄情」の意味は日本語でも同じでした…。

つい、現代の女性の感覚で、
「彼ピが出張でいなくて、今夜は寂しい」
ぐらいの寂しさだと思ってしまいました。でも、時代が違うので、歴史の知識がないと正確に詩を読めない。
もっと、まるで、羽をむしられて丸裸にされた鳥のような、絶対的な不安、無力感、孤独の詩なのかもしれません。
この女性は、そんな自由のない環境で、薄情な夫を持っている。でも夫を愛して、帰ってきてほしいとも願っているのかな?

また、「梅花弄」という歌を、最後まで聴いたことが重要だという解説が多いです。
わたしは、詩の最後に温かみがあるのかと思ったけれど、違うかも?
凍てつくような孤独の中で、歌を最後まで全部聴いた、という解釈が多いような気がする…。

わからないから、これも保留にします。難しい。難しい。まだ読めていない🥲🍑

【追記】6/27
「故人在此词中所指并非一般朋友,而是指恋人或夫婿(故人は旧友のことだが、この詩の場合は夫、恋人のこと)」

という中国語の解説を見つけました…友達じゃなかった…懐かしい友達はいなかった…(わたしの脳内に生まれた〝懐かしい独身時代の女友達〟は存在しない…ちょっと寂しい)桃園はなんだろう?

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