中国の詞、「声声慢」李清照作

「声声慢」李清照

寻寻觅觅,冷冷清清,凄凄惨惨戚戚。
乍暖还寒时候,最难将息。
三杯两盏淡酒,怎敌他,晚来风急?
雁过也,正仿心,却是旧时相识。

滿地黄花堆积。憔悴损,如今有谁堪摘?
守着窗儿,独自怎生得黑?
梧桐更兼细雨,到黄昏,点点滴滴。
这次第,怎一个愁字了得!

[わたしの不正確な意訳です]
尋ね尋ね探し探し、寂しくて寂しくて静かで静かで、苦しい悲しい苦しい悲しい、憂鬱憂鬱
暖かくなったと思ったらまた寒くなるし、心を休めるなんて難しいよ
安酒二、三杯程度で明け方の強い風に勝てるわけないよね?
雁が通りすぎた、秋が終わるね
本当に心が苦しいんだよ
それなのに、昔から見慣れた菊の花がたくさん咲いてる
この私はこんなにやつれて損なわれてるのに
こんな花には誰も見向きもしないんでしょ?
窓辺でじーっとしてる
一人で寂しくてどうやって夜まで過ごせばいいの?
霧が立ち込めて小雨も降り始めて
黄昏になり、ぽつぽつ、ぱらぱらと
こんな気持ちは「愁」だけじゃとても言い表せないよ!(だからこれだけの言葉を尽くしたよ)


中国語の詩を読みたいと思っていたら、作家の李琴峰さんから、李煜と李清照を教えていただきました。
李清照は女性の詩人です。
それで中国語の本『李煜李清照詞集』をKindleで買いました。李清照の「声慢慢」の出だし「寻寻觅觅,冷冷清清,凄凄惨惨戚戚。 」に痺れつつ、解読に苦労していたら、李さんにこの解説サイトも教えていただきました。https://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/liqingz1.htm
これのおかげで、おそらくですが、解読できました…。

中国語の本のほうは、8行の詩に解説が6ページついていました。
機械翻訳で読んだところ、
[1127年、漢政府の首都が女真族の建国した晋に占領され、漢政府は南に逃げた。李清照も南下した。この出来事は人々の生活にも文学にも大きな影響を与えた。
「声声慢」は南下後に書かれた詩。愛する夫の死、故郷喪失、晩年の孤独など,李清照の個人的な悲しみについて歌われている。
同時に、死と永遠、国の滅亡という大きな痛みや憎しみも描かれている。]
とありました。

この詞もやはり、個人的な出来事から、時を越え、土地を越え、文化を越える普遍的な言葉に昇華されていると感じました。
わたしはこれも素晴らしい詞だと思いました。

最後の1行、

「「愁」だけじゃとても言い表せないよ!(这次第,怎一个愁字了得! )」

は、詩の中にずっと重苦しい言葉(怎敵他、風急、傷心、憔悴損、堪摘、守着窗兒、獨自、得黒、細雨、點點滴滴、黄昏など…)を目一杯羅列したからこそ、強いインパクトを得ているのかな?
ここに大胆な技術を感じましたが、合ってるかな…?

言葉のリズムや、そもそもの漢詩の文法などについては、言葉と文化の壁があり、残念ですがわたしにはまだ理解できていないと思われます。

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