見出し画像

夜の桜島に光る緑色のレーザー光線の正体とは?

See below for the English version.

桜島ミュージアムYouTubeチャンネルでは、桜島火山のライブカメラの映像を配信しています。

夜の桜島に光る緑色のレーザー光線の正体について、「米軍のレーザー銃試射」とか「UFOからのレザービーム」とか「ラピュタの方向を指している」など、様々な噂が流れていたようです(笑)

実はこのレーザー光線は、桜島の火山活動の様子を観測するためのもので、京都大学防災研究所附属火山活動研究センター(桜島火山観測所)が設置している観測機器からのレーザー光線です。
京都大学の中道治久准教授に解説文を書いて頂きましたのでご紹介します。

夜になると,桜島の火口に向けて東西から緑色のレーザー光が走っているのが見えます.これは,ライダーと呼ばれる装置からの光です.ライダー(LiDAR)はLight Detection and Rangingの略で,レーザー光を照射し,対象物からの散乱光を観測する機器です.ライダー技術は距離測定に使われており,最近ではスマートフォンiPhone 12 Proにも搭載されています.桜島にあるLiDARは,元々は大気汚染エアロゾルの観測を目的とした,ミー散乱ライダーで,エアロゾル観測では,ライダー光を直上に照射して観測を行っていました.写真の桜島のライダーは,照射方向を自由に設定できる特別仕様のライダーです.現在は図の桜島火山観測所と黒神観測室に設置して,ともにレーザー光を南岳火口の上空に照射するようにしています.このライダー装置により目で見える火山灰よりももっと細かい火山灰の火口の放出と流出が分かってきました.

画像2桜島の東西に設置されたライダーの配置.SVOは京都大学の桜島火山観測所のライダーで,KURは京都大学の黒神観測室のライダーの位置を示す.どちらも,桜島の南岳の火口の上にレーザー光を放射している.

図1桜島火山観測所に設置されているライダー装置.ガラス窓に向いた細い筒からレーザー光線が放射される.大気粒子にて反射される微弱な光は太い筒で受ける.


At night, a green laser beam can be seen running from east to west toward the Minamidake crater of Sakura-jima. This is light from a device called a LiDAR. LiDAR is an abbreviation of Light Detection and Ranging, and it radiates the laser beam and observes the scattered light from objects. LiDAR technology is used to measure distance, and recently has been incorporated into the smartphone iPhone 12 Pro. LiDAR in Sakura-jima was originally a Mie scattering LiDAR for the purpose of observation of air pollution aerosol. The Sakurajima LiDAR in the photo is a special LiDAR that can freely set the direction of light radiation. At present, it is installed in the Sakurajima Volcano Observatory and its Kurokami Branch of Kyoto University in this figure, and both are designed to emit laser light over the Minamidake crater. This LiDAR system has revealed the emission and dispersion of fine volcanic ash from the crater, which is much finer than visible volcanic ash.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?