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トム・ヨーク 評伝

非常に面白い本でした。私はレディオヘッドより少し上の世代なので彼らの音楽は後追いです。それ故、革新的な音楽性、時代精神みたいなものは理解出来ていませんでした。あまり思い入れもない、ニュートラルな聴き手です。

この本には、どのようにして1つの才能のあるバンドが、世界的な知名度を得て、ファンの数を膨大にしていった過程や方法論が描かれています。歴史に残るような世界的ロックバンドになるにはどうしたらいいのか、みたいな感じです。

最も興味深いのは各アルバムの制作過程です、時間がたっぷりあるからいいものが作れる、というわけでもなく、自由があればいいというわけでもない。クリエーション、創作のマジックみたいなものはどうしたら訪れるのか、そんなヒントが描かれています。

レディオヘッドは1995年には177回、1997年には91回のライブをしています。95年は1日おき、97年は4日おきです、その後、「OK Computer」でグラミー賞を受賞しています。驚異的なライブ回数であり、しばしば止めたくなったりもしていました。アルバムを出すだけではなく、本当にフィジカルに演奏して観客に対して音楽を届け続けていました。

大バンドになる為には音楽性は必須、まして宣伝などわずかな物でしかなく、実際に演奏して世界中をまわることが大切なのですね。もちろん、トム・ヨークの生来の美しい声は必須ですが、それだけではない、不屈の努力が彼等を巨大な存在にしたのでしょう。

「秩序の崩壊、混乱、不安といったテーマを自分のものにし、これほどパワフルで美しく成功させた者はいない。」

(トム・ヨーク:評伝)

余談ですが、トム・ヨークの太陽は天秤座、月は180度アスペクトの牡羊座です。

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