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「ノストラダムスとルネサンス」

「ノストラダムスとルネサンス」 岩波書店
樺山紘一、高田勇、村上陽一郎 編
 
西洋史、思想史、フランス文学の専門家の編集による
ノストラダムスについての論考集です。
アカデミックにノストラダムスが解説されている
非常に面白い書籍です。
こちらに竹下節子氏の
「カバラとノストラダムス」という論考があり、非常に興味深かったです。
ノストラダムスはフランスに在住していた改宗ユダヤ人の家柄で
宗教的なアイデンティティは完全にカソリックだという記述があります。
キリスト教カバラによってインスピレーションを得て
「予言書」を書いたそうです。
 
こちらの書籍は2000年に出版されたものですが、
多角的にノストラダムスを知ることができる
充実した内容になっています。
 
ノストラダムスというと、私は小学生の時に
伝説的映画、「ノストラダムスの大予言」を
映画館の大スクリーンで見てしまいました。
全くもって災難なことです。
その年の夏休み中、毎日人類が滅亡しないように
本気で祈り続けました。
(いいかげんにしてほしかったですね!)
 
時が流れて、1999年ごろでしょうか、
ノストラダムスの大予言の著作者の方が、
あれはキリスト教的な黙示録的な世界観のものでしかなく、
当時の子供達には悪いことをした、と発言していました。
 
この書籍でも村上陽一郎氏が
「終末論の構造と預言」という文章で
「・・・黙示録的な歴史観の背景抜きには、とても理解できないもの
となることは明らかであろう。」と記述されています。
 
繰り返される「予言」を客観的にアカデミックに分析すると
子供のころのトラウマが解消されますので、
よいのではないかと思っています。
 
 
4月には竹下節子氏の新しい書籍
オカルト2.0: 西洋エゾテリスム史と霊性の民主化
(叢書パルマコン・ミクロス07)
が出版されますが、こちらも楽しみです。
 

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