🍁HSPだと思っていた私が、HSPを否定した話🍁

題名で既に言い尽くした感がある。題名そのままである。

私は3年前、HSPを自称していた。

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大学生になったばかりの初夏、大学帰りに立ち寄った本屋さんで、HSPのことが書かれている漫画のエッセイを立ち読みした。

私のことだと思った。その本をすぐさま購入し、食い入るように読んだ。

詳しくは覚えていないため、ざっくりと述べる。
外部刺激を受けやすい、空気を読みすぎる、人の気持ちがわかりすぎてしまう、こんなことが書いてあったように思う。

HSPでいたかった。もしHSPだとするならば、私の苦しんでいることに名前がつくからだ。嫌なことを言われると胸が切りつけられたように痛くなり、嬉しいことを言われると本当に胸がじんわりと熱くなる。だけど、周りの人は｢何それ。そんなことならないよ。｣と言う。

相手によって態度や立ち居振る舞いを変える。激昂するだろう言葉、言ってほしいだろう言葉、たくさん感じ取る。

だから名前がついてほしかった。この辛さや痛みに名前がつけば、ああ仕方なかったんだ、と自分を許せるような気がした。

｢私、HSPだと思う！！｣と別の大学で心理学を学んでいる友人に言った。秋口の頃だった。

｢でも○○ちゃん｣と友人は言った。
｢HSPってまだ新しい概念なんだよ。そもそも日本の心理学はまだ未分化。それを本当に知りたいなら専門にしている先生に聞いた方がいいね。その先生どこにいるの？｣

私は著者名を検索して｢北海道……｣と呟いた。
｢入北するしかないな笑｣
｢入北とか言うな笑｣
｢入北して脱北するか｣
と、笑いあってその場は終わった。その後は私は受験に入ったため、考えている余裕がなかった。

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おかしいと思ったのは次の次の年の春だった。
大学生活が合っていなさすぎて、スクールカウンセラーに話に言った。
｢先生、HSPって知ってる？私、それだと思う｣
カウンセラーの先生は｢HSP？知らないよ｣と言った。

その時、違和感を覚えた。スクールカウンセラーさんは臨床心理士である。言ってみれば心の専門家だ。その人ですら｢知らない｣と言う。

そして、前に友人が言った言葉を反芻した。そもそも心理学自体、未分化であり、専門家ですら知り得ない。それをど素人の私が、勝手にレッテルを貼って、カテゴライズしてもいいのだろうか。

学問系統は違うとはいえ、自分自身専門知識を身につけに大学で学んでいる。資格はぼんやりと過ごしているだけで天から降ってくるものではない。そのことは嫌という程学んだ。

だから私は、資格には意味があると思う。資格を取るにはお金も時間も、知識もそして努力も全てを費やしている。

診断をつけるのは医師で、カウンセリングを行えるのは心理士さんだ。医師は専門知識を身につけたから診断ができ、心理士は知識も経験も積んだからカウンセリングができる。

ただ、HSPの場合はまだ未分化だ。つまり言い換えれば、言い手によって如何様にも意味合いが変わってしまう。

いくらでも拡大解釈できる。いくらでも言ってしまえる。困っている人を一網打尽にして、食い物にすることだってできるだろう。

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それからたくさん学んだ。
HSPのことが記されている論文はまだほとんどなかったよ。
デタラメなことが書いてある胡散臭い啓発文はたくさんあったよ。
空気が読めない人がHSPを自称しているのを見たよ。

そもそも、人に気を遣うことは社会生活を営むうえでは当たり前のことである。誰かが空気を読める読めない、それを決定するのは当人ではない。本人は空気を読んでいるつもりが、傍から見たら全く読めていないといったことも有り得、この場面では空気を読めるのにこの場面では読めていない、なんてことも起こり得るわけである。

だから専門知識の浅い人が人を｢HSPでは｣とカテゴライズしたり、自分で自分を｢HSPかもしれない｣と自己判断することは危険だと思う。

なぜ危険か、聞きかじった自己判断でトレーニングしようとするからである。その何が怖いか、やり方を間違えたらあらぬ方向に進み、取り返しのつかないことになることもまた起こり得るからだ。

HSPの概念そのものを否定したいわけではない。ただ間違った概念が広まっていくことに対しては私は不快である。

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｢私はこんなことで困ってるの、何かあったら助け合おうね｣じゃだめかなぁ。