青春は遠く果てから
「くそ〜うらやましい」
ちゃんと青春してたんですね、と恨めしげに言われ、たしかにわたしはちゃんと青春していた!と思った。
わたしの大学生活は青春そのものだった。ギターを持って公園で、安い缶チューハイに酔いながら歌った夜の帰り道、終電に間に合わない!と5、6人でばたばたと駅まで走ったあの日、走りながら「きっとこの帰り道をわたしは何度も思い返すんだろうな」と思った。
今がいましかないことをわかって噛み締めている瞬間、こんな瞬間があるなんて生きてる冥利に尽きる。
汚い青春しかないや、と肩を落とす彼もまた、その青春に思いを馳せる夜があるだろう。
だいぶ明るくなった朝、きっと今だって遠くから見たら懐かしくなるんだよ。とわたしは言う。
一緒にご飯を食べて始発なんてとっくに出ているのにぽつぽつと話しながら煙草を吸う。
時に悪態を吐きながら、「今日はくそだった〜!」「おれたちこんないい子なのにさぁ!」なんて笑い飛ばしながら、それでもこんな日々だってずっとは続かない。ずっと続かないから青春で、なつかしくて、刹那的で美しい。
こんな毎日も何年かしたらいい思い出になる、などとわたしはもうすでに、今この瞬間が永遠でないことにすこし、かなしくなっている。
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