④FTMパンセクシャルの自叙伝

オナベの中学校生活

学校では、ジャージにいつも着替えていた。

いっつも学校指定の青ジャージ。

逆に制服を着ている日の方が不思議がられた。

先生に怒られて仕方なくスカートを履いてる時は

「あれ?何で今日スカート履いてるの?」

て聞かれるくらいだった。

髪もワックスでセットして、

スカートを履かずにいつもジャージ。

それだけで、あいつは何かしらの

セクシャルマイノリティーだってことは感づかれるだろう。

性同一性障害じゃなくても、

あの子は女の子が好きなのかな?

とか思われてもおかしくない。

自分がマイノリティーだと感づかれることは、

偏見を持たれて、異端者として排除される可能性がある。

中学校なんだから、いじめられてもおかしくない。

でも僕は、ジャージを着て、髪をセットして

少しでも自分らしい格好をする勇気を持てたのは、

一人でも理解してくれた友達がいたからだと思う。

幸い、学校のクラスの奴らはみんな大人びていたというか

みんながみんな仲が良くて、いじめは起きなかった。

それに、インターネットを通じて、

学校の外を見てみれば、案外僕と同じ悩みを抱えた人間はいる。

僕は「異端者」ではなく、「個性」を持った人間なんだって、

前向きに考え始めることができていた。

初めての「インターネット彼女」

この頃インターネットを通じて

初めて女の子と付き合った。

初めての彼女は、会ったことも無い子で

メールと電話のやり取りだけだった。

そんなの付き合ってると言えるのかって感じだけど

当時の僕にとっては、

「彼氏」じゃなくて「彼女」が嬉しくて、

少しでも男として認められた気がして、

それだけでも大きな勇気になって、

それがきっかけで、親にカミングアウトをすることにした。

「インターネット彼女」の力はナメたものじゃない。

彼女に惚れたのではなく、

「彼女ができた自分」に惚れていたんだろうと思うけど。

親へのカミングアウト

「性同一性障害だと思うんだ」

親に話をした。

母親は病気で亡くしていたから、父親に話をした。

僕は遅くに生まれた子だったから、

当時、父親は60歳に近かった。

「性同一性障害だと思うんだ」

そう話すと父親は

『つまり、女の子が好きだってこと?』

『つまり、スカートが嫌だってことなの?』と言われた。

そうだけど、、、それだけじゃない。

理解してもらうには時間がかかると思った。

でも、それ以降、その話をすることはなかった。

僕も父親に自分の性別について話すのは胸が痛んだ。

だって、たった一人の一人娘だったから。

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