⑧FTMパンセクシャルの自叙伝

19歳~20歳

新宿・歌舞伎町のオナベバーで働いた。

高校時代にインターネットで出会ったオナベの先輩に誘われたからだ。

そこは歌舞伎町唯一のオナベのショーパブだった。

オープンしたてで、ダンスをするにはメンバーが少ないようだった。

僕はショーのポジションをもらってしまった。

つまり、僕がいないとショーは成り立たない。

週6、月曜から土曜、18時から1時で働いた。

1限がある時は6時起きだった。

睡眠時間が全然なくて、正直辛い時もあった。

早く治療費を稼ぎたかったし、

大学では更衣室で更衣もできないし、

踊ったら胸が揺れて、

女性だってバレるしで、

ダンスサークルなんて絶対入れなかった。

けど、歌舞伎町のショーパブは

ダンスサークルに入ったかのように楽しかった。

高校を卒業したての僕にとって、何もかもが新鮮だった。

オナベの先輩は、「あたし、今日生理ー!」

なんていって、オナベを明るくネタにして接客してた。

そんな姿がとても前向きに明るく見えた。

今までふさぎ込んでいた自分がアホらしく見えた。

先輩には、「まだ処女なんだったら売っちゃえよ」

なんて冗談ぽく言われた。

ニューハーフさんと付き合うオナベの先輩もいた。

どれもそれまでの僕にも考えられないことだったけど、

一気に視野が広がった。

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