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アルファベットの略称は3文字が王道

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 文字数が長いことばは、そのうち短くなります。コンビニエンスストアが「コンビニ」になったり、「断然トップ」が「だんトツ」になったり(「断然トップ」はなかなかすごいことばだなあ。書いてみて異様さに気付きました)。日本語で記す場合、コンビニのように、頭の数文字だけを抜き出す場合と、だんトツのように、合成要素のそれぞれから抜き出す場合とに分かれるはずです。尾の方だけを抜き出す場合は無いはずだが……、と考えてたら、バンドの[Alexandros]が「ドロス」と略されることに思い当たりました。略し方は様々です。
 西洋語、現代では国際語の地位を得たる英語ということになりますが、英語では、構成する語の頭文字を抜き出してくっつけることがほとんどのように見受けられます。最近、特に耳にする略語は、「WHO」「IOC」に「JOC」「PCR」など。日本語に訳された「世界保健機関」「国際(日本)オリンピック委員会」が分かれば、「WHO」「IOC」「JOC」が元々どういう語なのか分かります。「PCR」は分からなかったので調べました。専門用語は難しいです。
 このようなアルファベットの略語は、3文字がしっくりきます。1文字だと、隠語めきます。あるいは、伏字。「D坂の殺人事件」。英語のアルファベットは26文字しかないので、略された一文字がたくさんの意味を持っています。一文字の隠語でしゃべっていて、各々が別のことを指していて、誤解が生まれて、おおごとになって……、ということが起こりはしないか、心配になります。
 2文字は短すぎる気がします。ただ、よく使われます。「US」はアメリカ合衆国、「UK」は連合王国のイギリス、「CA」は客室乗務員、「JR」は列車の会社。2文字略語は、だいたいアルファベットをそのまま読みます。アメリカ合衆国のことを「うすっ」と言っている人に会ったことがありません。
 3文字が王道で、4文字になると、途端に「長すぎる」という気に襲われます。「NATO」「JAXA」などは、アルファベット個別読みではなく、「ナトー」「ジャクサ」と、一つの語のようにして読みます。長すぎるからに他ならないゆえだと思います。でも、「IAEA」は「いあえあ」と読みません。もらい泣きのように聞こえるからでしょうか。
 5文字略称になると、確実に長すぎます。長すぎるから、なかなか思い浮かびません。「ASEAN」とか……、「ASEAN」。これも「アセアン」と一つの語のように読まれます。もう一つ思い出しました。「UNHCR」。日本語では「国連難民高等弁務官事務所」。「国連」という略語を入れてもこの長さです。「UNHCR」はアルファベットそのままで読まれます。ウン……、ウンハック……、ウヌ、……一つの語読みできないです。今、思い出した「NAFTA」(北米自由貿易協定)は「ナフタ」の読み。一つの語として読むのは、母音字を2つ以上を含むのが条件なのかもしれません。
 王道の3文字略語に戻りましょう。私が最も親しみを覚えるのは「IPA」です。
「International Phonetic Alphabet」(国際音声字母)、通称「音声記号」。これのおかげで外国語の読みが分かります。ありがたい。
「Information-technology Promotion Agency」(情報処理推進機構)。コンピュータの色んなことをしているところ。以前、試験を受けました。お世話になりました。
「India Pale Ale」(インディア・ペールエール)。ビール。そうそう飲めないけれども、美味しくてありがたい。
 Wikipediaで「IPA」一覧を眺めて、「組織とか団体を除くと、あとは化学の難しいことばだな」と思いつつ、「イソプロピルアンチピリン 」(Isopropylantipyrine)のリンクをたどったら、「イソプロピルアンチピリンを配合の『セデス・ハイ』」。これはこれは、お世話になっております。

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