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あの頃の君へ

走りだせずに立ち止まった君を知っている
手を伸ばして届かなかった君を見ている
悔しさに唇を噛んだ、涙堪えて膝をついた、あの頃の君の姿をありありと思い出す

術がなかった
力がなかった
余裕がなかった
あの頃の君

それを手助けも出来ず、見ているしかなかった私

本当は、君も助けが必要だったはずなのに

悲鳴が聞こえたら走り出す
その悲鳴を笑顔に変える
今、君はあの頃とは違う
走り出し、手を伸ばし、助け上げる
それが出来る、余裕がある大人になった
誰よりも先に大人になった君

その手助けがしたくて
私もまた走り出す
君の呼ぶ声に応えて

あの頃の君
あの頃の私
その思いを胸に刻んで

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