肩と首の痛みで死にかけた話

 10月中旬、なぜか突然右肩と右肩に近い首の辺りが痛み出した。
 最初は「なんか痛い…湿布でも買うかな……」くらいだった痛みは2,3日ですぐに「いだだだだだ!!!!」と絶叫してしまうほどの痛みに悪化した。しかも肩が痛いだけでなく、頭まで痛い。神経という道を通って痛みが肩から側頭部へズズズズ…と動くような痛み!! ちょっと首を下げただけでズキーン!!と痛むので、整形外科を受診した際に渡されたネックホルダーを巻いて過ごすことになった。下を見れないので階段の上り下りにも難儀する有様。
 別のクリニックでMRI撮影を行い診てもらったところ「軽度の椎間板ヘルニアだろうね」とのことだった。
 痛みのあまり眠れず「ヒィイ……ぃぃいい~~んっ、ぁあっ、あっ、ぁあああ~~~~!!」と♡を入れたら同人エロ小説の喘ぎ声になりそうな悲鳴を上げながら徹夜する羽目になった。人生で一番自分を情けないと思った瞬間だった。
 どんどん痛みはひどくなり、朝イチでタクシーを呼んだ。普段なら歩ける距離が絶望的に遠く思えたのだ。あと単純に下を向けないので足を踏み外して転倒とか頭部を強打とかしそうだったので。
 そして整形外科で処方された湿布やカロナール500がまったくと言っていいほど効かなかったので、坐薬に移行。医者は「効かないなら、坐薬……あるけど……」と「さすがに坐薬はイヤだよねぇ?」というニュアンスを含んだトーンで言われたが、もうこの痛みがどうにかなるならどうでも良かった。「お願いします」――即答だった。
 嘘みたいに痛みが引き、なんだか坐薬を入れるのが楽しいくらいになった。今にして思うと、あまりにも痛すぎたせいで、過去の当たり前の状態に戻ることを「楽しみ」と脳が誤認してしまっていた。しっかりしろ馬鹿。
 紹介状を書いてもらったペインクリニックでのブロック注射が始まった。そして診察室で医者に言われた衝撃的な一言は「ヘルニア? ヘルニアだったら頭じゃなくて腕や手が痺れるはずなんだけど……ヘルニアじゃないんじゃないの?」だった。
 訳が分からなかった。整形外科でヘルニアと診断されたので、既に職場でも「軽いヘルニアらしいです。今度ブロック注射を……」なんて話をしていたのだ。え、じゃあヘルニアじゃないなら何だと言うのだ? 「何だろうねぇ……」 こっちが訊きたい。
 注射後はしばらく片方の瞼がジョジョ6部のリキエルみたいにストーンと落ちていて、ちょっと面白かった。週一のブロック注射を3回やり、一旦様子見となった。
 今では肩はまったく痛まない。いや年相応の痛みというか凝りはあるのだが、妙な喘ぎ声のような悲鳴を上げてしまうほどの痛みはない。そしてこれまでの治療に掛かったすべての費用を計算したところ、¥24,910!! やっす!! アメリカだったら初診で吹き飛ぶ額!! いやはや、日本の医療制度様様である。
 そして、肩が関係あるかどうかは分からないが、出来るだけ運動する習慣を少しずつ付けていったほうがいいかな……と改めて思った。

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