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小論文問題集みたいなコラム

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いろいろな大学・学部の、いろいろな小論文試験を、わかりやすく解説しつつ、日頃考えていることも合わせて、コラム風にまとめてみました。
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2020年6月の記事一覧

ご・は・ん・を・た・べ・て・い・る・だ・け・の・か・ん・ じ・や……

 ことばには光と影があります。薬と毒と言い換えてもいいかもしれません。自戒を込めていいますが、ボクも毒をふくんだことばを言い放ち、相手を傷つけ、周囲を暗くしてしまった経験が無数にあります。「やっちまった」と軽くやりすごすことはできず、自分のひどいことばを思い出すたびに、取り返しのつかない失敗に凹むことが少なくありません…そんな毒のあることばをめぐる小論文の出題(山梨大学医学部2006年)を紹介します。   課題文が紹介したのは、あるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者をめぐること

点と点をつなげる

 今やっていることの意味がみえない…そんな人は以下の出題・文章を読んでみてください。文中にあるジョブズ氏の以下の言葉を、ボクも実感することがあります。いつも、何事も「成るように成る」と信じて一生懸命に取り組むと、不思議なことに、点と点は「つながる」のです。 将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。  あま

輸血拒否と自己決定

 東大が後期で論文試験を行っていた時代の出題(2008年)を紹介します。課題文というか資料は、実際にあった事件の判決です。受験生だけでなく、大人にも読みづらく、わかりづらい印象を受けます。しかし、意外なことに、受験生による問1(内容説明)の正答率は高いのです。それは、判決という文章は、論文の基本(判断+理由)に忠実な文章で、理由の正しさを論理的に(順を追って)説明するものだからです。基本をマスターした受験生ならば、構成も内容もクリアにみえるため、説明しやすかったようです。