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天使は、木枯しの森で初めて悪魔を見ました。 枯れ葉が舞う その森には小さな噴水があり、 悪魔はその水を飲んでいたのです。 それぞれの務めは大きく異なりますから、 天使と悪魔が接触することはほとんどありません。 接触が禁じられていたわけではないものの、 住む世界が違う天使と悪魔はお互いの存在を 認め尊重し合いつつも、 交わる必要がなかったのです。 初めて見る悪魔の羽は優雅に大きく、 静かにも圧倒的な存在感を放っていました。 これまで悪魔の存在にあまり意識を向けることが
その子は魚屋さんへ行きました。 いろいろな魚が並んでいます。 金の魚、銀の魚、ピンクの魚、青い魚。 彼女はこう言いました。 「金の魚をください」 金の魚が紙に包まれる様子を 彼女はじっと見ています。 綺麗に紙に包まれるのです。 その紙の手触りを感じました。 そして、紙が綺麗な折り目をつけていくのを うっとりしながら眺めていたのです。 その晩、彼女は金の魚を食べました。 細い指で丁寧に、金の魚を食べました。 翌週もまた魚屋さんへ行くと、 いろいろな魚が並ん