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OMC221 はじめての共同セット

 2024/6/10に,OMC221 が開催されました.MARTH・sakurano(さくら丸)の共同セットでした.今回は,共同執筆の形式で,Writer 視点で OMC221 を振り返ります.


開催まで

(さくら丸)
 昨年の秋ごろに,さくら丸から MARTH さんに共同セットを組むことをお声掛けし,今回のセットが実現しました.「一緒につくるプロセスも楽しめたらいいな」という気持ちと「MARTH さんの難しい問題が見たいな」という気持ちがあり,MARTH さんにお声掛けしました.

セットをつくる

 はじめの時点では,無印と 4e のどちらのセットをつくるか,決まっていませんでした.MARTH さんの新作問題の F の完成を見て,無印のセットとすることにしました.
 AB, CD, EF から 1 問ずつ分担すること,配点は 1-2-3-4-5-6 と階段状にすることなど方針を決めて,なるべく分野が連続せず,偏りが生じないように気を付けながら問題を提案し合いました.また,共同 Writer 記念的な問題を 1 問入れようと,MARTH さんとさくら丸で新作問題を出し合いました.今回の A がそれです.
 結果,代数 A 分野のないセットになりましたが,全体的には A 要素も多く含まれているので良しと考えてセットを提出しました.はじめの声掛けから半年ほどのことでした.

ポスターをつくる

 セット提出後,ポスターもつくってみたいと思い,アイディアを出し合って告知ポスターをつくってみました.MARTH さんとさくら丸のイメージっぽい(?)ポスターができた気がします.自分たちの過去問紹介もデザインに取り入れてみました.
 出題予定になったあと,さっそく告知をしてみました.多くの人に知ってもらえたみたいでよかったです.

OMC221共同 Writer 記念ポスター

出題予定になってから

 4 名の Tester さん(Furina さん,Shota_1110 さん,2_3_5_7 さん,Tempurabc さん)に参加いただけました.色々チェックいただけたほか,ユーザー解説も充実したと思います.Test の結果,配置はそのまま,配点が 1-2-3-4-5-6 から 1-2-4-4-4-6 に変更になりました.

問題の振り返り

(MARTH・さくら丸)
 では,それぞれの Writer 視点で順番に問題を振り返っていきます.

A(100N) MARTH

 共同 Writer 記念ということで,作問した問題です.僕とさくら丸さんのユーザーネームで何か作問ができないかと何日か悩んでたら,MARTH+sakuranoに使われるアルファベットの種類がちょうど10種類であること気づいて,これに一桁の整数を代入しようと思いつきました.

B(200G) sakurano

 この問題は,算数的解法(相似の知識だけを用いる解法)を思いついて紹介したいと思ったので出題しました.もし自分も初見の solver なら三角比で解くと思いますが,よかったら 2 つの解法を見てみてください!本問は隣り合う辺のなす角度が 89° なので正 180 角形から正 180 角形をくり抜いた図形になりましたが,別の適当な角度であれば正 n 角形から正 n 角形をくり抜いた図形をつくることができます.

C(400C) MARTH

 積の和やスコア計算が個人的にかなり好きなので,お気に入りです!
 149F などに少し似てる気がしますが,こういう類で多項式を考えるのが刺さらないのは初めてな気がします.(もしかしたら思いついてないだけで刺さるのかもしれないですが…)

D(400G) sakurano

 この問題は,平行四辺形の中に方べきの定理が現れる問題をつくりたいと思って作問しました.平行四辺形のところで相似を用いて線分比を考えてもらって,それと方べきの定理を組み合わせてみたらどんな問題ができるだろう,というのが作問の出発点です.幾何の問題だけれど二次関数要素が出てきたらちょっと意外かなと思って,結果的にこのような問題になりました.
 A, R, C の共線のあとは色々な解き方がありそうですね.ぜひ皆さんの解法も教えてください!

E(400N) sakurano

 この問題は,自分自身でも「平方数の最高位の数を取り除いて再び平方数になる数はどんな数だろう」と考えてできた問題です.特に,最高位が 8 のとき,(3) の二次不等式の解く部分がきれいになるので OMC に出題してみました.$${10^n\gt Y^2}$$ の条件を忘れやすいかもしれませんし,この不等式がきれいに解けるのも意外かもしれません(2_3_5_7 さんがユーザー解説を書いていますが,二次不等式を経ない人も多い…?).
 また,最後の常用対数から桁数を求めるパートは,小さい方から試すことで求めることもできますが,公式解説のように一般化して解くこともできます(一般化部分は,審査の段階で結論だけ言及していたのですが,運営さんが丁寧に証明も加えてくださいました).よくわからないという人は,実際に $${2(1-\log_{10}2)j}$$ の $${j}$$ を 1 から順に大きくして小数部分の変化を観察してみてください.

F(600C) MARTH

 積の和やスコア計算が個人的にかなり好きなので,お気に入りです!2
 こういう類の問題は組み合わせ論的な解釈か形式的冪級数の係数としての解釈か 2 通りに分かれると思うのですが,どちらも個人的に好きな解法なので,僕も生やしてみようと思い生えました!問題設定も空間の最短経路でシンプルなのも推しポイントです.

終えてみての感想

(MARTH・さくら丸)

MARTHの感想

 お疲れ様でした!test 前の配点は 123456 で,個人的な難易度の予想は A から順に灰緑青青青黄でした.D が橙 diff になったこと以外は概ね予想通りの結果となりました.
A: (3,3) は思惑通りです…
B: 僕も余弦定理を思いつきました.算数解法もあるので是非解説を読んでください.
C : 解法がそこまで典型ではないということで,400 に変更されました.反応を検索かけたところ体育会系で解かれた方も多かったそうでびっくりしてます.僕は体育するにしても時間はあっても紙などのメモリの部分でしんどいと思いました.
D: 幾何がそこまで得意ではないですが,それでも少し時間はかかりながらも自力で解けたので,今回正答者 10 人なのが驚きでした.コンテストでのプレッシャーがなければ,解ける方もいると思うので,是非挑戦してみて欲しいです.
E: 予想通り正答者 50 人ほどで青 diff でした.条件を丁寧に反映させるとシンプルな不等式に帰着されるのがすごい面白いです.さらに小さい方から 6 番目なのにとても大きな数が出るのも好きです.
F: この問題だけ 600 点ということもあり,発想一発ゲームなので,もしこの問題が解かれすぎたらどうしようと思ってましたが,FA は 25 分ほど,正答者は 11 人でちゃんとボス問の役割を果たしてくれて良かったです.何より黄色 diff の作問ができたことがとても嬉しいです.
 今回僕とさくら丸さんで組んだセットは僕の色もさくら丸さんの色も出ていて,分野バランスもよく(A 分野はないですが,各問題に代数パートがあると思います.)とてもボリュームのあるセットになったと思います.全完者が 1 人だけなのが驚きでしたが,100 分の時間で全ての問題を解き切るのは非常に難しいセットだと思います.とにかく,出題ミスもなく終われてよかったです!皆さんご参加いただきありがとうございました!!

さくら丸の感想

 MARTH さんと自分,それぞれの持ち味を出せた気がしてます…!難易度としては結果的に難しいコンテストになったと思います.しかし,それぞれの問題には面白さもあるので,ぜひ見てもらえると嬉しいです(F まで到達した人も多くないかもしれませんが,この問題も面白い考え方をしているので見てほしいです).
 半年以上かけて今回のコンテストを準備してきましたが,その中で,没になったアイディアも含めて色々考えたり,MARTH さんに色々教えてもらったりして,刺激的であり,とても楽しかったです(まさに共同 Writer の魅力なんだと実感しました).
 今回関わってくださった皆さん,ありがとうございました!

お礼

(MARTH・さくら丸)
 今回のコンテストの実現にあたって,運営の方々,Tester の方々(Furina さん,Shota_1110 さん,2_3_5_7 さん,Tempurabc さん),ありがとうございました.Shota_1110 さん,2_3_5_7 さんには,こちらから Tester の依頼をして,ご快諾いただけたことも感謝申し上げます.また,今回のコンテストに参加してくださった方々も,ありがとうございました!

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