流浪の月

本屋大賞受賞作。凪良ゆうさんの作品。普通じゃない二人が幸せに暮らす話。

あらすじ

両親不在により叔母の家に世話になる少女。叔母の家では性格が合わず煙たがれたり、従兄弟が毎晩性的な嫌がらせをしてくるため少女の居場所がなくなっていた。ある日、少女が雨の中傘も持たずに家に帰りたくないと公園で一人時間をつぶしていたところ、小学生同士の間で「ロリコン」と呼ばれている男性に声を掛けられ、男性の家で雨宿りすることに。学校では周りに合わせて自分を抑え込み、家には居場所がなかった少女にとって、男性の家は自由で天国のようであった。家よりも学校よりも居心地の良い男性の家に泊まり込む少女は、やっと従兄弟に恐怖することなく安心して眠ることができたのだ。少女からすると男性はつらい世界から救ってくれた救世主であったが、二人は世間から見れば誘拐犯と被害者。しばらくして男性は逮捕され少女は叔母の家に帰り再び従妹から嫌がらせを受けることになる。(少女が嫌がらせをしてくる従妹の頭を殴ったことで施設に引き取られることになるが。)そうして別れた二人は15年後に再開し、周りからの野次や偏見に晒されながらも共に暮らすのだった。

感想

恋愛ではない親愛の関係。ふたりの関係が本当にうらやましくてたまりません。尊い。互いが本当に安心できる感じ。いいもん読ませてもらいました。わたしもこんな人と出会いたい、一生を添い遂げたい。BL作家さんと知って、ちょっと納得してしまいました。恋人ではないけど男女の安心出来るパートナー。気の置けないっていうのはまさにこういう関係なんじゃないかな。

わかってるふりをしちゃう。みなまで言わなくても良いんだよって。ふつうに落としこんでしまうというか、勝手に分かった気になってしまうというか。話している相手の発言そのままだけじゃなくて、話している意図を読み取ったりするわけじゃないですか、でもそれって読み取る側の想像でしかない。10伝えたい人から1を聞いて10を理解したらすごいけど、1を伝えたい人から聞いた1から10を想像して捏造してそれを真実だと思い、さらに聞いてない部分を補完できてすごい、優しいって勘違いして。それが相手を苦しめることもあるのだと思いました。

話してくれたことをそのまま受け取る力っていうのも必要なんだと思いました。言外の意味を読み取る必要もあるけれど、まずは言葉をそのまま受け取ってみる事が大切なのかなと。認知というのは簡単に歪んでしまうもので、自分の経験に基づいて色々と裏の意味を探ってしまうものです。会話する上で誤解のないように伝えることも必要ですが、受け取り方というのも意識する必要があると思いました。

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