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番外編 その3●大きくなったイチジクの木
<監督補佐>
昨年の初夏、西日の暑さを防ぐためにベランダに植えた3本のイチジクの苗木、イチちゃん、ムーちゃん、ブランちゃんは、盛大に葉を繁らせるまでにはならなかったものの、普通に育ち、実も3本で25個も実らせるまでにはなった。
ささやかな日陰を作り、実を生み、冬に葉を落した3本は、そのまま春を待つのだろうと思っていた矢先、現場監督は挿し木をして増やす、と宣言し、バチバチと枝を切り落としてしまったのである。
仰天する監督補佐。
せっかく大きくなったのに、完全に丸坊主になったイチちゃん達。。
苗床用に現場監督が買ってきたプランターに突っ込まれ、チンアナゴの集団のようになったイチジクの枝の先は50本以上。。
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水族館のチンアナゴを連想した
ところが、イチジク版チンアナゴは、植えてから4カ月も経たないうちに、立派なイチジクそのものの葉を伸ばし始めたのである。
![](https://assets.st-note.com/img/1716946789961-ZsSQNWmsBz.jpg)
再度仰天する監督補佐。
今は葉っぱが大きくなり過ぎて、過密状態となったプランターで育っている。
![](https://assets.st-note.com/img/1716881589730-dpjAHGA4qb.jpg)
![](https://assets.st-note.com/img/1716881649261-mtkXGX3Z2P.jpg)
そればかりか、枝を切り落とされたイチちゃん達も、春の日差しを浴びはじめると枝を伸ばし、バサバサと大きな葉っぱを繁らせ始めたのである。
「園芸家としての能力はたいしたものだろう」と威張り続ける現場監督。
葉っぱを繁らせているのはイチジクの力だと思うけれど、何でも自分の手柄にして喜ぶ楽天的な現場監督である。
<現場監督>
小学3年生の頃、愛媛県松山市の道後小学校から空海創建の石手寺の方向に同級生3人で川沿いの小道を歩いていた。
石手寺に着くまでの道路右側の長屋の前まで来た時、石手寺前を流れる浅い川の道路脇に川面に傾斜して大きなイチジクの木があった。
3人のうちの1人がランドセルを放り投げてイチジクの木にするすると登り、色づいた甘そうなイチジクの実3個をもぎ取って木から降りて来ると、その実を我々に見せてくれた。
我々2人は当然、その1個ずつの配当を期待して喜んだのであるが、その同級生は1人で皮を剥いて、あっという間に3つとも食ってしまった。
他人の家のイチジクを勝手に取っていいのか、と聞いたところ、「このイチジクはウチの木や」と自慢げに見上げて言った。道を挟んで建っている長屋の1軒がその同級生の家だったのである。
それ以来、イチジクの実を思い続けた時期がある。
昨年、三重県大台町のコメリで買ったイチジクの苗はすでに大きな実を4個付けている。葉は大きく茂り、全体の容量が昨年の3倍以上に育っている。
4個の実は昨年伸びた枝に付いている花イチジクで通常の実より大きい。この実が食べられる頃には、今年、新芽から伸びた新しい枝に今年度のイチジクの実がたわわに実るはずである。
8月から12月までにはおそらく100個以上の実が収穫出来そうな見込みである。花イチジクの成長ぶりを毎日見ながら、遠い小学生の頃を鮮やかに思い出してしまった。まるでついこの間の出来事のように思い出されるところがまっことコワイなぁ。
プーチンも習近平も子供の頃にはきっと大変な苦労をしたのであろう。その経験が現在の政治判断に影響しているに違いない。権力を持たないと生存すら困難になることを思い知らされたのだろう。しかしそうした人間が一旦権力を握ってしまうと、今のロシアや中華人民共和国のように厳しい独裁国家になるのではあるまいか。
イチジクの実を楽しみにしながら気楽に過ごせる方が余程幸せな国民生活に違いないと思う昨今の世界情勢である。
今年の11月か12月には監督輔佐の自宅マンションのベランダにも、イチジクの鉢を5~6個設置できるはずである。
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