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吹奏楽コンクールで全国大会出場するまでのお話

中学生の頃、部活動で吹奏楽部に入り、クラリネットを始めました。第1希望はサックスでしたが、入って2日目の日、サックス経験者2人がオーディションで決まり、私は先生からパーカッション(打楽器)にいくようにと言われました。ドラムやシンバルなどの大音量の楽器に加え、1人1つの楽器を担当するという責任感が他の楽器に比べて大きく、目立つのがとんでもなく苦手な私は、先生に勇気を出して言いました。
「打楽器ではなく、吹いて演奏する楽器がしたいです...!」
と。その日が初めて大人に向かって自分の意見を言った日でした。
その後、クラリネットを担当することになります。
クラリネットパートに入ったは良いものの、私が体験入部で音が出せなかった唯一の楽器がクラリネットでしたので、とても不安でした。口の形、息の方向、肺活量など、何か一つでも欠けていれば音は出ません。先輩も怖くて積極的に話しかけることができないような雰囲気の中、ただひたすら同級生と練習し、たまに来てくださる外部講師の先生にアドバイスをもらいながら少しづつ上達していきました。

ある日学年ミーティングが行われて、1年生だけで目標を話し合う機会がありました。みんな先輩からの威圧的な態度に悩んでいて、1人じゃないんだと思えました。先輩方が先生をいじったりバカにしたような事を言ったり、後輩を呼び出していじめたり説教をしたりと、入部したての私たちにはどうすることもできませんでした。

’’全国大会出場’’これが私たち1年生の目標に決まりました。
県大会までしか行ったことがない中学校だったので、先生も何事だ!?と思ったかもしれません笑
後輩に私たちと同じようなことは絶対にさせない。先輩後輩関係なく、みんなが意見を言いやすい雰囲気を作り、お互いを高め合って全国大会に出よう。
あとから気づいたことですが、30人の部員が誰1人欠けることなく同じ方向を向いて頑張れたことがどれだけすごいことなのか、今実感しています。
私たちの目標を先生に伝え、日々の練習をみて想いが伝わったのか、先生も目の色を変えて指導してくださるようになりました。
全国で有名な指揮者の方を講師に呼んでくださったり、毎月の楽器ごとのレッスンを増やしてくださったり、地域のイベントで演奏する機会をふやしてくださったり、、。イベントにいくには楽器の運搬や交通費が必要ですが、保護者の方の協力もあり、私たちは本当に色んな経験をすることができました。

先輩が引退した年の冬、夏のコンクールに向けて、課題曲と自由曲が決まりました。
自由曲にはクラリネットとオーボエのソロ。吹奏楽部の方は分かるかもしれませんが、ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~という曲です。
パートリーダーだった私は先生から呼び出され、私にソロをお願いしたいとお話がありました。「全国大会に行けるかは横田にかかってるから。」という言葉をかけられた時、とんでもないプレッシャーに押しつぶされそうになりました。
でもそれと同時に、私を選んでくださって嬉しいなという気持ちもありました。もうやるしかなかない。そう思い、覚悟を決めました。

県大会の結果発表。先輩方は毎年ここで引退が確定。私たちは、見事金賞をとり、九州大会への出場が決まりました。
九州大会出場は初めてだったのでみんな少し浮かれていました。でもそこで部長が「ここで油断しては全国大会に行けない。私たちの目標はもっと先。今日は思いっきり喜んで、明日からは切り替えてまた練習に戻ろう。」と言いました。率直に、すごいなぁと思いました。同級生にこんな部長がいてくれたから私たちは意識高くやってこれたんだと。

九州大会。いつもとは全く違う会場で、客席との距離も違い、音の響き方も違う。緊張しすぎて本当に記憶がありません。気づいたら終わっていました。
結果発表。九州・沖縄の約30校の中から3校が選ばれ、全国大会への出場が決定します。

最初に2校発表され、あと1校。
みんなで手を繋いて祈りました。
そして、私たちの学校名が呼ばれました。
鳥肌と涙がとまりませんでした。
先生も、泣いていました。
この日の出来事は一生忘れられません。

ついに名古屋での全国大会。
九州大会の時よりは心の余裕があるように感じました。これがみんなとの最後の演奏。これで引退。
とにかく楽しんで演奏しよう!とみんなで決めました。
ここに関しても記憶はないです。笑
ただひとつ言えることは、つらい練習を共に乗り越えてきた仲間と演奏する時間はとても幸せだったということです。
あきらめずに頑張ってよかった、目標を叶えられた達成感をみんなで味わえて嬉しかったです。

今でも友人との会話で出てきます。
「あの練習乗り越えたんだから、私たち無敵だよね」
って。
この経験はこれからも自分のためになる。
そう実感できた出来事になりました。

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