「会員制の粉雪」①
「いかがっすか〜!『会員制の粉雪チケット』っス!いかがっすか〜!」
短髪の先っちょを銀色に染めた背の高い若者が、駅を出たところで立ちん坊をしている。駅前に集まって来た人たちは、われ先にその『会員制の粉雪』チケットを求めているが、それは10枚で500円+1枚サービスの11枚綴り。
ふむ、昭和の茶店のコーヒー券みたいな。
「あれ、何ですか?」
「あ、買っておかれた方がいいですよ、特に今年は」
「買ったらどうなるんですか?」
聞いているのに、その人は手に入れたチケットを大事そうに財布の中にしまって、そそくさと駅のホームへと消えていった。
「お兄ちゃん!それちょうだい!どこで使うの?」
「オレ、バイトやから知らんのよ、買ってる人に聞いてよね〜はい、11枚綴り1セットでいいのね、あ、ごめん、これでお終いや〜」
耳に銀色のピアスをいくつもつけたお兄ちゃんはポケットにある500円コインをじゃらじゃらならしながら去っていく。
私の手に中には『会員制』と書いた粉雪チケットが11枚残った。
***** 参加します ******
ところで、この話は、夢・・・なわけない。証拠にチケットがここにある。
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