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72-28候 乃東枯(なつかれくさかるる)

 夏 夏至 24節気72-28候 乃東枯(なつかれくさかるる)

 冬至の初候「乃東生(なつかれくさしょうず)」
 夏至の候「乃東枯(なつかれくさかるる)」

 乃東生(なつかれくさ)とは、シソ科の「ウツボグサ」といわれる小さな紫色の雑草。冬至に芽を出し、夏至に枯れるというもので、72候では『夏至』と『冬至』とに対となって表現されています。

ウツボグサ
5月~7月ごろに花をつけるシソ科の多年草。高さ30センチほどで日当たりの良い草原や道端で見かけることが出来ます。紫色の花が花穂にいくつも咲き、この花穂が黒ずんだあとに乾燥させると「夏枯草(かごそう)」と呼ばれる生薬になります。煎じて飲むと利尿や消炎作用があると言われています。また煎液は腫れの塗り薬やうがい薬にもなります。
ウツボグサという和名は、花穂の形がかつて武士が使った矢を入れる容器の「靱(うつぼ)」に見立てたからと言われているそうです。

「夏至やなぁ」
「冬至やし」
と、私たち夫婦の会話に、今でもよく登場する単語。

 結婚して5.0年余り、歩いて5分の職場まで朝5時には出勤していた夫は、一年のうち『一番日が長い日』と『短い日』それを身をもって体感していて、特に晩年の『冬至』あたりの早朝の暗さには、泣きたくなるほどの弱音を吐いていた。

「何もそんなに早く行かへんでも・・・」
と、私は言うのだけれど、責任感の強い夫は自分で引退を決めるまでそれを貫いた。おかげで、お弁当作りの私もえらい目にあっていた。

 お互いに寝たり起きたりの老々介護の今、時として朝、昼、夜の判別が狂うこともあり情けなく思うのだが、

「今年の半夏のタコをどないして食べよ?」
「たこ焼きでええやん」
「え〜・・・せめて蛸飯くらい炊けへん?」
と、生協の申込書と睨めっこしているのであった。

 乃東枯(なつかれくさかるる)
 これからの猛暑の日々を思うとため息しか出ない今日この頃である。

2024年6月21日(金)【旧暦 皐月16日】夏至に。

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