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万葉の恋 第18夜

【2016.1.8】


「・・韓国ですか」

新年早々
呼び出された会議室には
編集長と2人しかいなかった。


「行けるか?」


・・・行けるか?

「・・出張ではなく?」

「違う」

違うのか・・。

となると、
結構大事な話なんだけど
すごく簡単に聞かれてる気がする。

「行けるか?」

ほら。


・・・韓国

まぁ、隣っちゃ隣・・。

隣・・

あの日から
彼との間にできた少しの隙間。

私の右肩に頭を乗せる事も
手を重ねる事もなくなった。

名前を呼ぶ事も。

それが、私を傷つける事も
喜ばせてしまう事も
わかっていたからだろう。


でも、きっと
ここまでは気づいていない。

彼がオフィスを出る。
その背中を見るだけで
涙が出そうになるのを
必死で堪えている事。


「どうだ?」


大変な話だったけど・・


「・・わかりました。行きます。」


結構、簡単に返事をした。


~・~・~・~


へえ、美味しそう


帰りに寄った書店で
開いた韓国の旅行雑誌には
美味しそうな料理が並んでいた。

言葉も文化も知らない国。

彼がいない国・・


うん、・・楽になれそうだ


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