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世の中に愛がある

 「すいません。○○で子育ての講演会やってます。よかったらきてみませんか」

 公園の入り口で子どもとベビーカーに乗る乗らないをやっているとき、急に声をかけられた。過去にも2回ほど同じような経験がある。

 小学生の女の子を後ろに乗せた自転車の女性。よくあることなのか、女性が話し始めると、女の子は諦めたように自転車を降り、目の前にある公園の柵に腰掛けた。

 平日は参加できないと断ると、「日曜日は時々□□でやってます。家庭のことも一対一で個人相談できます。」と、諦めずに誘ってくれた。

 珍しく子どもが「お腹すいた。」といいだし、彼女は「よかったらここにメールください。」と言って、スマホケースから名前と携帯電話の番号を書いたメモを渡して去っていった。

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 これにはびっくりした。見ず知らずの人間に、名前と電話番号を渡すなんて、自分には怖くてできない。

 携帯電話を複数持っているようにも見えなかった。とにかくおいで、という一心なのだろう。

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 その人の目に、自分がどう見えたのかわからない。子育てに疲れた人に見えたのは確かだろう。

 結局、彼女には連絡をしていない。

 しかし、世の中には頼っていいんだよ、と言ってくれる見ず知らずの人がいる。

 世の中に愛はある。

 そう思った。

 かけることのないメモは、心の拠り所として保管している。


 

ありがとうございます^_^