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【5日目①】荒野で強盗に出会った時の正しい対処法!

明け方3:30、疲れの残っている体を起こし、残り物のご飯が入った鍋に水を入れて湯を沸かす。
そこに韓国製の辛ラーメンを入れて、それを一気に体に流し込む。

こうすると冷えた体も一発で温まるし、鍋も布で拭くだけで綺麗になるし一石二鳥!

生い茂った草を食べてジョナもクロも元気になったようだ。
今日はジョナに乗って5:00前には出発!

頭の上にはまだ星が残っているけれど、日の出がもう近いらしく既に地平線がオレンジ色になりつつある。

綺麗な地平線に見とれつつ、白い息を吐きながら順調に早足くらいで進む。

『今日は順調に行けそうだな!』と思った矢先、15分と持たずにジョナが嫌がり始めた。

無理に走らせようとしても嫌がるし、背中が鞍擦れの初期段階だと良くないから、ジョナから降りて歩き始めることにした。

昨日、踏まれた足はそこまで気にならなかったけど、ジョナに蹴られた膝の上がやっぱりまだ痛む。
それでも昨日に比べれば大きな石もなくて、すごく歩きやすい!

順調にどんどん進んでいった!
最初に感動していた景色も3時間も歩いていれば飽きてきて、歌を歌ったり、ブヨを払うために踊りながら歩いたりして暇を潰した。 日が昇るにつれ、どんどん暑くなっていく。

昼前に差し掛かった時、遠くから1台の車が近づいてきた。 窓から顔を出している男は明らかに人相が悪い。
また、強盗か。。。

うまい具合に車が入りにくそうな方へ向かったけれど、すぐに横につけられてしまった。

人相の悪い男が冷たい目で放った最初の言葉は 「金をおいてけ」だった。

『でたよー』と心の中で思いつつ、状況を冷静に分析してみる。

車の中には男が4人乗っている。
周りにゲルがあるわけでもなく人がいるわけもない。
今のボロボロな体で4人を相手にしたら100%負けるし、車から馬で逃げられるわけもない。。。

いつでも財布ごと渡せるようにお金はほんの少ししか入れてないけど、まだ出発して5日で渡したくもない。

脳内会議の末、『笑顔でごまかす作戦』を実行することにした!

「お金?なにそれ?モンゴル語わからない!俺、日本から来た!よろしく!」

あえて変な発音で話して、握手をしてみる!

相手は笑っていない!

「いいから金をよこせ」
「ごめん!モンゴル語わからない!」
「金!」

効果はイマイチのようだ。

体を掻くフリをして、万が一の為に3mの鞭をすぐ取れる状態にして、ナイフ2本もすぐ出せるように準備しておく。

男が4人とも車を止めて外に出てきた。
どうやら銃は持ってなさそうだ。

俺の腰につけているカメラに気付いて指をさしながらこう言った。

「そのカメラでもいいからよこせ」
「あー!これね!カメラで、日本の写真もあるから見てみて!」
「これなんだ?」
「横浜のビル!」
「これは?」
「学校の友達!」

意外と日本の写真への食いつきは良かった!

「そうだ!せっかくだし4人の写真とってやるよー!」
そう言うと4人を車の前に並ばせて写真を撮ってあげた!
撮った写真を見せてあげると、みんな嬉しそうに見ている。

窓から顔を出していた悪人面の男が、「今度はこいつと2人で写真を撮ってくれ!」と隣の男と肩を組み始めた。
リクエストにお応えして2人の写真を撮ってあげると、満足そうな顔でその写真を見て車に乗り込んでいった。


右が例の悪人面の男

去り際の車の窓からこっちに手を振りながらリーダー格の男が、「この辺には悪い奴らがいっぱいいるから気をつけろよー!!」と叫んだ。

「お前が言うなー!!」と心の中で俺も叫んだ。

しばらく歩いていくとラクダの大群が。
仲間になりたそうにこっちを見ている。

この辺にゲルでもあるのかな??

いくつか山を越えたけど一向に景色が変わらない。
この日は気温が高くて、飲み水も予定よりもかなり早いペースで減っていく。

時折、流れてくる雲の影が涼しくて、唯一救われる。
ここ3日でかれこれ70kmほど歩いてて、まとまった睡眠も取れてないし、腹も減ったし、さすがに体力の限界が近いづいてきている。

地図ではもう少しでホブド村につくはずなんだけど、まだまだ見えない。
ジョナとクロも足取りは重くなって、少し引っ張っててやらないと進んでくれない。

飲み水もあと僅かで、いつ川があるかも分からないからもう飲めない。
カラカラになった口に風で入ってくる砂の味が不快感を与える。

今は砂と一緒に吐く唾も出ない。
既に16:00を過ぎていて、本当に今日中に村につけるのか焦り始めてきた。

せめて水だけでもなんとかしなくては。。。

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