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A Voronoi diagram-based colocalization analysis

Single-Molecule Co-Localization Analysis

原理

 ボロノイ図(Voronoi diagram)を簡単に説明する。平面上に、いくつかの点が配置されている。このとき、その平面内の点を、どの点に最も近いかによって分割してできる図のこと(下図)。定義としては、「隣り合う母点間を結ぶ直線に垂直二等分線を引き、各母点の最近隣領域を分割する図」のこと。

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ボロノイ図を利用した1分子画像の共局在定量法

1.Coloc-Tesseler

 ボロノイ図を利用した共局在定量法の1つColoc-Tesselerを説明する。Coloc-Tesselerは、STORM/PALMといった1分子画像の点パターンの分布を解析するのに使われる。解析方法は以下の通り。2色の画像を扱うが途中までは、各色、独立して処理する。まず、1分子画像の点パターンからボロノイ図を作成する。そして、自身と直接、隣接する点(First-rank neighboring)をすべての点について洗い出す。

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 そして、自身とFirst-rank neighboringを含むボロノイ領域において、点集団の密度を計算する(下図)。点が密になっている領域であれば、点の数(分子)が大きく、面積(分母)が小さくなるので密度は大きくなる。この密度をすべての点において計算し、ヒストグラムを作る。

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 このヒストグラムから、閾値を基準に高密度のクラスターを検出する(下図)。閾値は、点の配置をランダムに再分布させた画像から算出した密度の平均値。

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 これをもとに、各点を高密度、低密度で色分けする。共局在を定量するときは2色の画像があるので2種類の画像ができる。そして、この2種類の画像をMergeする(下図左)。このとき、最近傍の異なる色の点の密度によって更に色分けをする(下図右)。パターンは4つある。1,自身が高密度の点で、さらに、もっとも近い異色の点が高密度である。2,自身は高密度だが、相手は低密度の場合。3,自身は低密度、相手は高密度。4,自身は低密度、相手も低密度。2種類の分子を扱っているので、色のパターンは合計5つになる。

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 これを散布図にとる(下図)。あとは「Co-Localization 4 3.定量分析」で説明したように、MandersやSpearman係数から共局在の度合いを定量する。

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2.ClusterViSu

 もう1つの定量法、ClusterVisuについて説明する。こちらも、まずは2色の分子の画像をそれぞれ独立して処理する。画像からボロノイ図を作成し、すべてのボロノイ領域の面積のヒストグラムを作る(下図)。点が高密度に存在する領域では、ボロノイ領域は小さくなる。逆に、点が低密度に存在する領域では、ボロノイ領域は大きくなる。Coloc-Tesselerと同様に、ランダム分布の画像も同様にヒストグラムを作る。オリジナル画像のヒストグラムとランダム分布のものとの交点を閾値として、それよりも面積が小さい領域を点が高密度に存在する領域とする。

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 この閾値をもとに、ボロノイ図を色分けする(下図左)。高密度な領域は緑色で示されている。この閾値で画像を2値化する(下図右)。

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 この2値化画像を2色それぞれで作成する。最後にこの2つの画像をMergeすると、重なる部分が出てくる(下図黄色領域)。赤と緑色の分子の場合、赤色の分子だけが密な領域(下図赤色領域、Sred)、緑色の分子だけが密な領域(下図緑色領域、Sgreen)、赤も緑も密(下図黄色領域、Syellow)。この領域を指標に共局在を定量する(下図右)。具体的には、赤も緑も密な領域の面積を、赤(or 緑)色の分子だけが密な領域の面積で割った値(Syellow / Sred or Syellow / Sgreen)。

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参考文献・サイト


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