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Co-Localization 5 4.Plugin

4.Plugin

 ImageJ/Fijiで共局在の定量をおこなうことができるPluginを紹介します。紹介するPluginは8個あります。Pluginごとで特徴や解析できる定量法が異なります。各Pluginの機能・特徴とPluginを選ぶ際のDecision Treeを図にまとめました(下図)。しかしスペースの都合上、強引な結論になっているところもあります。引用元を参考にして各Pluginをご自身できちんと理解してください。その上で、自分の研究に合ったPluginを見つけてください。

スライド2

スライド3

スライド4

「Coloc2」

 Coloc2は、Fijiに標準装備されている、共局在解析の定番Pluginです。簡単・直感的な操作が可能です。2色の画像を指定し、定量したい解析方法をチェックするだけで解析を実行してくれます。Pearson, Spearman, Kendall, ICQ, Mandersといったピクセル単位での定量法のほとんどを備えています。結果の可視化(散布図)や有意性の検定 (Costes)も対応します。さらに、マスク画像を指定することで、解析するROIを限定することもできます。残念なところは、ピクセル単位での定量しか対応しておらず、クラスター単位での定量には対応していないところです。

http://cellnetmcweb.bioquant.uni-heidelberg.de/image-analysis/ShortTutorials/IntensityBased_Fiji_Coloc2.pdf
https://imagej.net/Coloc_2
https://imagej.net/Colocalization_Analysis

「EzColocalization」

 EzColocalizationは、threshold overlap score (TOS)を定量してくれる唯一のPluginです。Thresholdが不明瞭な画像を解析する場合は、第一の選択肢になります。さらに、EzColocalizationは、Coloc2にはない、便利な機能を2つ備えています。1つ目は、「3」色の共局在に対応している点です。これによって3種の分子間での局在の比較が可能となり、しかも定量結果を3Dグラフで可視化してくれます。2つ目は、1つの視野で複数のROIを指定できる点です (multi ROI)。Coloc2では、1つの視野に複数の細胞が存在していても、 1つのROIとしてまとめて定量されます。それに対し、EzColocalizationでは、複数の細胞を細胞ごとに単離・解析してくれる機能が備わっています。しかも、単離した細胞 (ROI)はROI managerに保存することができ、共局在以外の別の解析へと利用することができます。2018年に開発されたばかりのPluginなので、まだ知名度はありませんが使い勝手はなかなかいいです。その他の機能として、2色の画像の位置ズレの自動補正機能(内実はImageJ Plugin 「TurboReg」のalignment機能)も備わっています。Coloc2と同様に、クラスター単位での定量には対応していません。

Stauffer, Weston, Huanjie Sheng, and Han N. Lim. “EzColocalization: An ImageJ Plugin for Visualizing and Measuring Colocalization in Cells and Organisms.” Scientific Reports 8, no. 1 (December 2018). https://doi.org/10.1038/s41598-018-33592-8.

「Colocalization Colormap」

 Colocalization Colormapは、共局在の空間分布を可視化する唯一のPluginです。共局在の程度をColormapとして表示してくれるます。normalized mean deviation product (nMDP)しか備えていません。しかし、共局在を視覚的に理解するなら必須のPluginです。

https://sites.google.com/site/colocalizationcolormap/home

「GDSC」

 GDSCには、他のPluginにはない、便利な機能を2つ備えています。1つ目は、有意性の検定、Confined Displacement Algorithm (CDA)の機能を備えている点です。2つ目は、自動化を意識して作られている点です。Thresholdの選択から共局在の定量までをシームレスにおこなえる作りになっています。PearsonとMandersの定量、優位性検定、グラフ作成といった一通りの操作に加え、共局在の面積・体積の割合も定量してくれます。さらに、2色だけではなく3色以上の共局在の定量も総当たりで解析してくれる機能も備わっています。

http://www.sussex.ac.uk/gdsc/intranet/microscopy/UserSupport/AnalysisProtocol/imagej/colocalisation
http://www.sussex.ac.uk/gdsc/intranet/pdfs/Colocalisation.pdf

「JACoP」

 JACoPは、ピクセル単位とクラスター単位での定量の両方を実行してくれる唯一のプラグインです。ピクセル単位でもクラスター単位でも定量法を豊富に備えています。PSFの計算、有意性検定、手動でのThresholdといった細かい設定が可能です。しかし、JACoPは、パラメータ設定の自由度が高い分、初心者にはとっつきにくいです。そのため、蛍光イメージング・統計学についての正しい知識がないと使いこなすのは難しいです。
(引用 JACoP)

https://imagej.nih.gov/ij/plugins/track/jacop2.html
https://imagejdocu.tudor.lu/plugin/analysis/jacop_2.0/just_another_colocalization_plugin/start
https://imagejdocu.tudor.lu/_media/plugin/analysis/jacop_2.0/just_another_colocalization_plugin/jacop_ijconf2008.pdf

「Squassh」
「Interaction Analysis Plugin (IAP)」

 SquasshとInteraction Analysis Plugin (IAP)は、MOSAIC Groupが開発しているユニークなPluginです。MOSAIC Groupは、DresdenのMax Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics (MPI-CBG)にある Center for Systems Biology Dresden (CSBD)のIvo F. Sbalzarini を中心とした集団です。ともにクラスター単位での定量をおこなうPluginです。Squasshは、クラスターのsegmentationを独自のアルゴリズムでおこなっているのが特徴です。自動化を意識して作られており、ノイズ除去、空間フィルター処理、segmentationをシームレスにおこなってくれます。また、クラスターの中心位置をsub-pixelの精度で求めてくれます。指定するパラメータが多く、各パラメータをきちんと理解していないと使いこなせないため上級者向けです。Interaction Analysis Plugin (IAP)も上級者向けPluginです。クラスター単位での共局在の定量は、クラスターの局在パターンに影響を受けることが知られています。Interaction Analysis Plugin (IAP)は、この局在パターンの影響を考慮して定量をおこなってくれる唯一のPluginです (normalized NND)。

(引用 Squassh)
Rizk, Aurélien, Grégory Paul, Pietro Incardona, Milica Bugarski, Maysam Mansouri, Axel Niemann, Urs Ziegler, Philipp Berger, and Ivo F Sbalzarini. “Segmentation and Quantification of Subcellular Structures in Fluorescence Microscopy Images Using Squassh.” Nature Protocols 9, no. 3 (March 2014): 586–96. https://doi.org/10.1038/nprot.2014.037.
http://mosaic.mpi-cbg.de/?q=downloads/imageJ
http://mosaic.mpi-cbg.de/docs/Paul2013a.pdf
(引用 IAP)
Shivanandan, Arun, Aleksandra Radenovic, and Ivo F. Sbalzarini. “MosaicIA: An ImageJ/Fiji Plugin for Spatial Pattern and Interaction Analysis.” BMC Bioinformatics 14, no. 1 (December 3, 2013): 349. https://doi.org/10.1186/1471-2105-14-349.
Helmuth, Jo A., Grégory Paul, and Ivo F. Sbalzarini. “Beyond Co-Localization: Inferring Spatial Interactions between Sub-Cellular Structures from Microscopy Images.” BMC Bioinformatics 11, no. 1 (July 7, 2010): 372. https://doi.org/10.1186/1471-2105-11-372.
https://imagej.net/Interaction_Analysis
http://mosaic.mpi-cbg.de/Downloads/IAPManual.pdf
http://mosaic.mpi-cbg.de/?q=downloads/imageJ

「DiAna」

 DiAnaは、クラスター単位での定量のみをおこなうPluginです。クラスター単位での定量をおこなうPluginの中で唯一、クラスターの位置情報を、ROI managerに保存することができ、共局在以外の別の解析へと利用することができます。

Gilles, Jean-François, Marc Dos Santos, Thomas Boudier, Susanne Bolte, and Nicolas Heck. “DiAna, an ImageJ Tool for Object-Based 3D Co-Localization and Distance Analysis.” Methods, Image Processing for Biologists, 115 (February 15, 2017): 55–64. https://doi.org/10.1016/j.ymeth.2016.11.016.

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