見出し画像

Colocalization by Cross Correlation

相互相関を利用した共局在の定量

原理

 相互相関解析とは、2つの信号、配列(ベクトル)の類似性を確認するために使われる解析法。2つの時系列波形があるとき、両者の相関係数を時間をずらしながら(Δtを増加させながら)計算することにより求める。この解析法を画像解析に応用し、2種類(2色)の分子の共局在性を定量するのに使われている。画像解析の場合、ずらすのは時間ではなく空間(Δx、Δy、Δz)。空間をずらしていったときの、2つの画像の相関係数の推移をもとに局在性を評価する。

 まず、2種類(2色)の画像、AとBを用意する。画像AとBの相関係数を求める。そして、Aの画像を少しずつずらしていき、Bとの画像の相関係数を求める。すると、ずらした距離の関数の相関係数が求まる(下図)。この相関係数を「Original相関」とする。もし、AとB画像が全く同じ画像ならば、距離0のときの相関が1となり、画像をずらしていくと相関係数が減衰していく。

画像1

 ついで、非特異的な相関を求める(non-specific correlation)。求め方は、Aの画像をばらばらにし、シャッフルしたランダム画像を作成する(下図)。「Original相関」と同様に、このランダム画像とB画像との相関係数を画像をずらしながら求める。この相関係数を「Random相関」とする。

画像2

 AとB画像の相関から、非特異的な相関(non-specific correlation)を除く。具体的には、「Original相関」から「Random相関」を引いたもの(下図)。これを、「Subtracted相関」とする。

画像3

 最後に、共局在性を評価する指標を計算する。まず、「Subtracted相関」のカーブの下の領域(AUC: area under the curve)の面積を求める(下図)。これを「Original相関」のAUCで割った値をパーセントで表記したものがConfidenceと呼ばれる指標となる。100に近いほど、AとBの画像を同一であることを示し、共局在性が強いことを表す。

画像4

Plugin

 Fiji / ImageJのPluginにColocalization by Cross Correlationという名前である。使い方はとても簡単。2種類(2色)の画像とどちらかの片方のマスク画像を用意する。あとは、PSF(Point Spread Function)を入力するだけ。PSFの簡易的な求め方は、一般的な蛍光顕微鏡であれば、0.51xλ / N.A.。共焦点顕微鏡であれば、0.37xλ / N.A.。λは蛍光波長、簡易的には蛍光分子のピーク波長。N.A.は開口数、簡易的には対物レンズの開口数。


参考文献・サイト


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?