見出し画像

宮平遺跡【縄文時代】


1 場所
 北に浅間山を臨み、周囲を豊かな野山に抱かれた、御代田町豊昇地区の湯川左岸の河岸段丘上にある。標高は約800m。
https://goo.gl/maps/7frkZidbRkLy7fov7

2 概要
 古くからその遺物量が豊富なことで知られ、大正〜昭和にかけて、軽井沢の英国人医師であり、考古・人類学者でもあるN.G.マンロー博士が調査を行ったことでも有名である。
 縄文時代中期後半〜後期(約5000〜3200年前)を中心とした遺跡。特に注目される出土品は、2001年の調査で住居跡から出土した、縄文時代中期の釣手土器だ。釣手土器とは、浅い鉢の上部に主としてアーチ状の釣手を取り付けた特殊な形の土器で、釣手部に動物の顔や人面、渦巻等さまざまな装飾がなされた、灯火具とも考えられている土器である。宮平遺跡から出土した土器の釣手の正面中央部には、高く突き出た鼻があり、その両脇に沈線で目が描かれている。釣手の窓の部分が大きく開けた口にも見え、あくびをしているように見えることから「あくびちゃん」と呼ばれ親しまれており、長野県宝にも指定されている。遺跡は、御代田町史跡に指定されている。
 「あくびちゃん」には、御代田町浅間縄文ミュージアムで会うことができる。見学の際には、展示されているか事前に確認することをおすすめしたい。

3 ミニ案内
 西には面替小谷ヶ沢遺跡(御代田町)、東には茂沢南石堂遺跡(軽井沢町)が車で10分圏内にあるので、湯川沿いに遺跡巡りができる。宮平・面替小谷ヶ沢遺跡では、立て看板による遺跡の説明を、茂沢南石堂遺跡では、復元された遺跡の一部を見学できる。面替小谷ヶ沢遺跡の近くにある露切峡周辺では、雄大な堆積岩の地層も見ることができ、数千〜数万年の時を感じる散策ができる。また、付近には人気店の自家製粉手打ちそばの店”浅間翁”がある。14時までの営業のため、日中に散策を済ませて、休憩に立ち寄るといい。なお、宮平遺跡の発掘調査報告書は、こちらからダウンロードできる。
https://sitereports.nabunken.go.jp/en/8352
                          (井出 智子)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?