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『VIVA LA ROCKを通じて感じた新しいライブのカタチと可能性』

2021年5月1日〜5月5日、さいたまスーパーアリーナにて2年ぶりに有観客で開催された『VIVA LA ROCK 2021』。


コロナウイルスがまだまだ猛威を振るい続けている今の日本において、全国から人が集まる事が予想される大型音楽フェスを開催する事に対して、本番を迎えるまで、いや無事に最後までやり切った現在でも、ネガティブな意見がSNSに散見され、主催者である鹿野淳さんに直接歪んだ正義感をぶつけるようなツイートなども何度も目撃し、イチ音楽好きとして悲しい気持ちになった。

昨年(2020年)9月にVIVA LA ROCK開催が2年ぶりに開催される事が発表された時、正直な気持ちとしてはとても複雑な気持ちだった。

なぜなら、まず1つ「ホントに出来るのか⁉︎」と半信半疑だったから。

次に、「例え無事に開催されても、遠い四国から埼玉まで遠征は、恐らく不可能だろうな」という、地方民の僻みのような思いがあったからだ。

VIVA LA ROCKには俺は、それなりに思い入れがある。

仕事の関係上、ほぼほぼ連休が取れない上に日・祝日にこそ出勤しなければならない仕事だ。
埼玉まで遠征しての参戦はなかなか重い腰が上がらなかったのだが、それでも常々思っていたのは、他のフェスと比べてどうという訳ではないが、ビバラに出演するアーティストにはハズレが無いという事。

主催者である鹿野淳さん、MUSICA編集長有泉智子さんらの感性は間違い無いと、強い信頼を置けるフェスだなぁという事を常に思っていた。

そしてMUSICAという雑誌は、2011年に大手事務所を辞めインディーズとなり、ほとんどのメディアから黙殺されていた当時のスガシカオさんを表紙にし、巻頭ロングインタビューまでしてくれた、気骨のある、音楽への愛に溢れた雑誌だ。

また、『キリンのどごし生』の“夢の雑誌ドリーム“という企画にMUSICAとスガさんがコンビを組んで参加した事もあり、そこからスガさんの名曲『見る前に跳べ.com』が誕生している。

そんな、スガシカオさんとも深い縁のあるMUSICAが主催するフェスだけに、いつか参戦したいと願っていた。

2017年にビバラとコラボして開催されたスガシカオデビュー20周年記念『スガフェス!〜20年に1度のミラクルフェス〜』には(もちろん)参戦したものの、本家VIVA LA ROCKを体験はできず。

ついに念願叶って初参戦できたのは、2年前。2019年の事でした。

その時は、もう本当に超絶楽しかった!
会場外の『けやきひろば』から音楽と笑顔がいっぱいで、まさに”フェスティバル“って感じ。

入場時チケットを手渡しリストバンドに交換してもらうと、スタッフさんから、「リストバンドは締めすぎないようにしてくださいね!」との優しいアドバイスが。
そうそう、、俺もフェス初参戦時には締めすぎて外れなくなって、あとでホテルのお姉さんにハサミで切ってもらった事が有ったなぁ。懐かしい笑 なんて事を思った。

そのスタッフさんだけではなく、とにかく俺が過去体験したライブやフェスの中で最もスタッフさんの印象が良かったのがビバラロック。

友人に逢うため一度会場外に出た後の再入場の際も笑顔でハイタッチしてくれ「おかえりなさい!楽しんでくださいね!」と言ってくれたり、フードエリアへの行き方を近くに居たスタッフさんに聞いたらとても親切に案内してくれ、俺のスガマニアTシャツに目ざとく反応し「スガシカオさんのライブ、楽しんでくださいねっ!」とキラキラした笑顔で言ってくれたり。

何だろう、物凄くあったかいのだ。
音楽へのリスペクトと愛に溢れた空間なのだ。
それは、まるで鹿野淳イズムがスタッフさん一人一人にまで浸透してるような、そんな素敵な空間だったんだ✨

そしてライブはもう、更に最高だった。
同じ空間に別のステージも有るため、いわゆる“転換中の待ち時間“が待ち時間じゃなくなる。
だって、向かい側のステージのライブが、もう一つのステージ前からでも堪能できるから。
屋内フェス、しかも同じ空間内のフェスだからこそ出来る贅沢な楽しみ方。


さて、話を今年のビバラに戻そう。

開催日が近づくにつれ、チケットを購入済のスガマニアな皆様のワクワク感溢れるツイートがたくさん目に入るようになり、行きたいのに行けない悲しさは増すばかりだったが、忘れもしない4月19日、ビバラの公式から『ビバラ!オンライン2021』(配信)決定とのお知らせが入り、一気にテンション上がった✨

まぁ冷静に考えれば、感染対策で観客数を制限せざるを得ない分、配信やテレビ中継などを導入しないと、主催者側にとって大きな赤字になってしまう事は想像に難くない。

ただ、間違いなくそこには、会場に行きたくても行くことができない俺みたいな人に対する鹿野さんたちの優しさが、はっきりと感じられた。

もちろん全てのアーティストのパフォーマンスが配信される訳では無かったものの本命であるスガシカオさんは配信予定に入っていたので、躊躇なく配信チケットを購入した。

そんな中、5月の本番を目前にしながらコロナウイルスがまたも大都市を中心に広がりをみせ、ビバラが開催される埼玉県も厳しい状況となっていた。

「飲食店が時短を強いられたり、みんな我慢して頑張ってる時に、ロックフェスなんて」

「どうせみんな酒飲んで騒いで、クラスターが起きて、とんでもない事になるぞ」

そんな声もネットでは散見され、正直俺もホントに大丈夫なのかと不安に思っていた。

鹿野さんたち主催者側の本気は解ってる。
曲がりなりにもMUSICAを毎月購入、熟読し、鹿野さんのラジオも毎回聴いてきた身だ。
鹿野さんはじめスタッフの皆様、更にはアーティストの皆様が、万全の感染対策を考えているであろう事、自分たちの利益なんかより音楽の未来を守るための闘いに挑もうとしてる事、痛いほど解ってるつもりだ。

だが、肝心の観客がルールを破ってしまえば、そこはもう地獄絵図と化し、音楽の、ロックの未来は漆黒の闇の中に消えてしまう。
正直なところ俺には、フェスに集まる観客たちを、そこまで信用できなかった。

そんな俺の思いなんか意に介さず時は過ぎ、ついにVIVA LA ROCKは開催された。
ちなみにほぼ同じ日程の5月2、3、4、5日の4日間は、千葉でJAPAN JAMというロッキング・オン主催の野外フェスも開催されたため、奇しくも日本の音楽雑誌のツートップが主催する2つのフェスに、音楽の未来は委ねられる形となった。

配信チケットの5日通し券を購入していた俺は、(仕事で観られない時間帯がほとんどの中)アーカイブを最大限に利用しながら5日分全て観させていただいたのだが、これが何と言うか、、


✨✨本当に素晴らしかった✨✨



鹿野さん始め主催者側の“本気と覚悟“が伝わってくるガイドラインや対応。

観客を前にして演奏できる事に、全身から喜びと楽しさが溢れているアーティストたちの圧巻のパフォーマンス。

多くのアーティスト、ロックバンドのフロントマンたちがMCや曲間で発した、“音楽をみんなで守ろうぜ“という想いが伝わる熱い言葉。

ロックフェスとしては、がんじがらめにも感じられる多くのルールをしっかり守りながら、その中で最大限に楽しみ、アーティストへの感謝を精一杯の拍手と態度で表現していた観客たち。

そこには、主催者、出演者、観客という垣根を越え、”音楽の、ロックフェスの未来を守る“という連帯感が間違いなく出来上がっており、それは美しいとすら思える光景だった。

そして、まさにこのルールの中だからこそ生まれた副産物と言うか。
今までモッシュやダイブが頻繁に起こる激しいライブをやっていたバンドのファンでありながら、巻き込まれて痛い思いをするのはちょっと・・・とライブでは毎回後方から観ていたファンの人たちが、スタンディングエリアで、目の前で大好きなアーティストの演奏を観られた!という喜びの声をSNSとかで何度も目撃した。
これは体力に自信が無い人や体の小さい女性なんかは、本当に嬉しかったんじゃないかと思う。

モッシュやダイブができる環境に戻った時、元通りの激しいライブに戻るのも、もちろん有りだろう。
でも、今まで我慢して後方で観るしか無かったそんな人たちも、同じようにそのアーティストを愛するファンに変わりない。
コロナ消滅後のライブでも、そんな人たちにも光が当たるようなライブが有ればいいなと、それも1つのライブの新しい形になると面白いなぁと、そんな事を思いながら観ていた。

“こんな状況下だから仕方なくこんな形で、観客に我慢してもらってライブをやった”ではなく、そこから新しい時代のライブの在り方の可能性が広がったんじゃないだろうか。

観客数を制限する=収入減になってしまうので、そんな単純にはいかないとは思うが、マスクをしていても判る最高の笑顔に溢れている観客席を画面越しに見ながら、“こんなライブも素敵だなぁ“と、感動すら覚えてしまった。

5日間を通して約5万人を動員しながら、最後まで無事に完走してみせた2021年のVIVA LA ROCK。

もちろん美談だけではなく、初日に持ち込み禁止のアルコールを持ち込んだ(事実かどうかは謎)事をSNSに投稿して炎上した人物が居たり、同じく禁止である“席取り“が初日には多く見られたとの事。
同時開催のJAPAN JAMで、会場外で禁止のアルコールを飲んで騒いでいる一部の観客がワイドショーなどで取り上げられた事もあり、2つのフェスはかなりバッシングも受けた。

しかし、俺が配信で観ていた分には、ビバラは鹿野さんが開演前の挨拶で、前日に少しでも問題が起こった部分はすぐに厳しく注意喚起し、その鹿野さんの熱い想いが観客にも伝わり、どんどん浸透していって改善されていったように見えた。

開催前には本当に大丈夫かと危惧していた俺だったが、4日目が終わった後の鹿野さんのツイートを引用リツイートし、こんな投稿をした。

『まだ今年のビバラは終わってはいませんが、1つだけ間違いなく言える事は、昨年のtelephones石毛さんの発言そのままです。「VIVA LA ROCKが開催された事は、絶対に間違いではない‼︎」
鹿野さん、有泉さん、スタッフの皆さん、アーティストの皆さん、ありがとうございます😭』

本当に、心からそう思ったのだ。

まだまだ、コロナ禍が続く限り、ライブやフェスに対してネガティブな意見は多く見られるに違いない。
それでも、この5日間VIVA LA ROCKが作って見せた奇跡のような空間。
これが、ライブの新しい形や可能性に繋がるんじゃ無いかと思えた、そんな5日間だった。

鹿野さん、有泉さん、スタッフの皆様、アーティストの皆様、ビバラ開催に関わった全ての皆様、そして現地で一生懸命ルールを守ってくださった観客の皆様、改めて本当にお疲れさまでした!
そして、音楽の未来を守ろうとしてくれてありがとう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊

次回は、ビバラの主催である鹿野淳さんの開演前の挨拶の書き起こしをしてみたいと思います。

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