20201218の奇跡【前編】
マジカルミライ2020幕張の初日が誕生日だった話の前編。
とんでもなく長い前置き。マジミラ成分はゼロ。
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誕生日
命宿るものの誰しもが年に一度迎える、この世に生を受けた日
その日の過ごし方は人によって様々なことだろう。
ただ歳を重ねるだけのなんら他と変わりのない一日だったり、この日くらいはとちょっと特別にしたくなる一日だったり、はたまた年行事と重なり毎年得したりあるいは損した気分になる一日だったり。
文字どおり人の数だけ誕生日の過ごし方が存在しているのだと思う。
私は、年行事も何もない平凡なその日を自分でちょっと特別にして楽しんでいる人だ。
さくらゆな
12月18日生まれ
冬に生を受けた私は物心ついた時からそれがしごく当然であるかのように冬が好きだった。何か特別なきっかけがあった訳でもない。理由を問われても「冬生まれだから」と答える他ない。実に単純で安直だ。
けれど、私にとっては幼い頃から変わらないものであった。
冬の街を彩るキラキラ輝くイルミネーションも、ひときわ深い闇に形作られる冬の星座、そして瞬く星たちも、生物はすっかり身を潜め静寂が支配する夜の雰囲気も、身を切る程に冷たく痛い空気ですらも。
この季節を迎える度に全てがいとおしくなる。
中でも雪に対しては強い思い入れがあった。
空から舞い降りる小さな結晶がやがて白へ白へと周囲を包んでいく。
その光景が大好きだった。白銀の世界ってやつだ。
雪の予報が出たならそわそわしながら期待に胸を膨らませ、裏切られ。極たまに予報通り降ったと知れば一目散に窓際へと駆け寄り時間を忘れてぼーっと眺めていた。
もちろんそれだけでは終わらない。
積もったであろう頃を見計らっては外へ飛び出し真っ白なキャンパスに足跡をこれでもかと付ける。いけそうだったら雪にダイブする。雪だるま作る。雪合戦する。雪を全身で浴びる。寒さなんて最高のスパイス。
あぁそれと、忘れちゃならない。綺麗な部分を探して一口、パクっと頂きます。今回の冷たさを口内で感じこれでノルマ達成。運が悪ければそのままトイレへ。ここまでが降雪時のテンプレート。
ひとまずこれだけ記しておけば、私がどうしようもなく雪が好きだということは分かって頂けたことだろう。
季節は何度も繰り返す
私も少しずつ大人になっていく
いつからか、ひとつの"憧れ"を抱くようになった
「誕生日に初雪降らないかなぁ」
そもそも東京都内に住居を構えている私にとっては雪景色を拝むこと自体が多くない。ましてや地球温暖化まで重なってしまったら、まだ初冬とも言える12月中旬に東京で雪などまさに夢物語。現実はそう甘くない。
それでも、もし。
もし誕生日に雪が降って、しかもそれが初雪だとしたら?
考えただけでワクワクしてくる。思わず口元が緩む。元々夢見がちな私はそういった“良い感じ”のシチュエーションが大好きなのだ。叶わないと分かっていながらも毎年その日が近付くと夢を見ずにはいられない。ロマンチスト?うん、そうかもしれない。
しかし記憶に残っている12月の雪は幼少期に経験した大晦日くらい。あとはてんで年が明けてから。何十年か前なら可能性あったかもな…そう言って冬晴れの済んだ青空を見上げながら歳を重ねていくばかりだった。
…そういえば。
成人を迎えて何年かした頃、一度だけ11月に雪が降ったのを覚えている。
あの時は悔しかった。
「何故?どうして?どうして今更こんな時期に?
やめてよ。
とうに諦めた憧れを思い出させないで。
ありもしない希望を抱かせないで。
また馬鹿みたいに夢を見てしまうじゃないか。」
と、どうしようもできない感情を天気相手にぶつけていた。
ちなみにその雪もしっかり堪能はした。
まぁそんなこともあったが私もすっかり良い歳になった。
大人になった今でも胸の奥底では淡い憧れを抱き続けているものの、もう現実が分からないほど子どもでもない。
だから、その時は思い出すことすらしなかった。
既に約束された幸せで頭がいっぱいだったから。
また今年も誕生日を迎える。
重なりすぎた奇跡が起きるとも知らずに。
───
思ってたより長くなってしまったので一旦ここまで。
何が起きたんでしょうね。
next
では、ここまで読んでくださり感謝です。
またどこかで。
さくらゆな
Twitter/@sakura_YJK
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